認証基準の科学的根拠

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「健康な食事・食環境」認証基準の科学的根拠

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2026.2.16更新
世界の疾病負担研究(GBD 2023)や、動脈硬化性疾患予防ガイドライン、糖尿病診療ガイドライン、「日本人の食事摂取基準(2025年版)」など、最新の科学的知見およびガイドラインに基づき内容を更新しました。
あわせて、飽和脂肪酸や魚介類摂取に関するエビデンスなど、オプション項目の情報も充実させています。
 
※ 数字の後のアスタリスク 1)* は,日本人又は日本人を含む研究,赤文字の文献が2026年2月に更新された文献です.
※ 認証基準に関する科学的根拠の更新は,運営委員会委員が担当し,定期的に行っていきます。

「健康な食事・食環境」認証基準の科学的根拠

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2026.2.16更新
世界の疾病負担研究(GBD 2023)や、動脈硬化性疾患予防ガイドライン、糖尿病診療ガイドライン、「日本人の食事摂取基準(2025年版)」など、最新の科学的知見およびガイドラインに基づき内容を更新しました。
あわせて、飽和脂肪酸や魚介類摂取に関するエビデンスなど、オプション項目の情報も充実させています。
 
※ 数字の後のアスタリスク 1)* は,日本人又は日本人を含む研究,赤文字の文献が2026年2月に更新された文献です.
※ 認証基準に関する科学的根拠の更新は,運営委員会委員が担当し,定期的に行っていきます。

必須項目


項目1.スマートミール(基準に合った食事)を提供している
要素:主食・主菜・副菜のそろう食事

1)* 40-59歳の男女(男性149名,女性150名)対象の4日間の24時間思い出し法による食事記録(INTERMAP研究)から主食・主菜・副菜のそろう食事回数を算出し,DRIs2015との関連を横断研究により検討した結果,回数が少ない者は,カリウム,V.A, VC. Caの摂取で不足のリスクが懸念された.

Koyama T, et al: Relationship of Consumption of meals including grain, fish and meat, and vegetable dishes to the prevention of nutrient deficiency The INTERMAP Toyama study. J Nutr Sci Vitaminol 2016; 62: 101-107.

2)* 自立高齢者76名を対象に主食・主菜・副菜を組み合わせた食事回数と栄養素摂取量との関連を横断研究により検討した結果,2日間の食事記録から,主食・主菜・副菜のそろう食事回数が多い者は,女性では食物繊維,VCが多かった.一方,男女ともに食塩摂取量も多かった.

小山達也, 他: 自立高齢者における,主食・主菜・副菜を組み合わせた食事の回数と栄養素等摂取量の関係. 日本栄養・食糧学会誌 2014; 67: 299-305.

3)* 2000~2017年に発表された論文を対象に,システマティックレビューを行った結果,12件が採択され,主食・主菜・副菜の揃った食事回数の多い人ほど,エネルギー,たんぱく質,各種ビタミン・ミネラルの摂取量が多く,日本人の食事摂取基準に合致していることが報告されていた.

黒谷佳代, 他: 主食・主菜・副菜を組み合わせた食事と健康・栄養状態ならびに食物・栄養素摂取状況との関連─国内文献データベースに基づくシステマティックレビュー─. 栄養学雑誌 2018; 76: 77-88. 

4)* 男性13,355名,女性15,724名を対象に1992年にアンケート調査を実施し,「食事バランスガイド」への遵守度(0-70点)を評価した.1997年まで追跡し,死亡との関連を前向きコホート研究により検討した結果,女性のみ,食事バランスガイドに沿った食事の人ほど総死亡,がん及び循環器疾患以外の死亡と循環器疾患による死亡リスクが低かった.

Oba S, et al.: Diet based on the Japanese Food Guide Spinning Top and subsequent mortality among men and women in a general Japanese population. J Am Diet Assoc 2009; 109: 1540-7. 

5)* 45-75歳の健康な一般住民7万9594人を対象にアンケート調査を実施し,「食事バランスガイド」遵守得点(0-70点)を算出した.約15年間の追跡における死亡との関連を前向きコホート研究により検討した結果,食事バランスガイドに沿った食事の人ほど総死亡リスクが低く,特に循環器疾患,とりわけ脳血管疾患による死亡リスクが低かった.

Kurotani K, et al.: Quality of diet and mortality among Japanese men and women: Japan Public Health Center based prospective study. BMJ 2016; 352: i1209.

6)* 2012年国民健康・栄養調査の6歳以上の協力者30269名の食事記録を用いた横断研究から,男女ともにいずれの年齢階級においても,主食・主菜・副菜の揃った食事回数が多い者ほど,たんぱく質,脂質,炭水化物,各種ビタミン・ミネラルの摂取量が日本人の食事摂取基準に合致していることが報告された.一方,主食・主菜・副菜の揃った食事回数が多い者ほど,飽和脂肪酸と食塩摂取量の目標量を超える者の割合が多いことが報告された.

Ishikawa-Takata, K. et al.: Frequency of meals that includes staple, main and side dishes and nutrient intake: Findings from the 2012 National Health and Nutrition Survey, Japan. Public Health Nutr 2020; 13;1-11.

7)* 60歳以上地域在住高齢者666人を対象に食物摂取頻度調査を実施し,食事バランスガイド得点を算出した.前向きコホート研究において3年間追跡し,サルコペニア評価指標との関連を検討した結果,食事バランスガイド得点が高い人ほど,骨格筋量指数(skeletal mastle mass index: SMI)が高く,女性に比べ,男性の方が顕著であった.

Huang CH, et al. Dietary Patterns and Muscle Mass, Muscle Strength, and Physical Performance in the Elderly: A 3-Year Cohort Study. J Nutr Health Aging. 2021;25:108-115.

8)* 平成29年11~12月実施の「食育に関する意識調査」(農林水産省)のデータを用い,20~95歳の1,781名(男性796名,女性985名)において,主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日に2回以上食べる頻度と主観的健康感との関連を横断研究により検討した結果,主食・主菜・副菜を組み合わせた食事が1日2回以上の日がほぼ毎日であることは,主観的健康感の良好さと関連していた.

坂本 達昭ら. 主食・主菜・副菜を組み合わせた食事の頻度と主観的健康感の関連—「食育に関する意識調査」データの解析より—, 日本健康教育学会誌, 2021;29:348-354.

9)* 65歳以上の高齢者912人において,主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上食べる頻度とフレイルとの関連を横断研究により検討した結果,主食・主菜・副菜を組み合わせた食事が1日2回以上の日がほぼ毎日の者ほどフレイルのオッズが低く,女性でより顕著であった.フレイルのコンポーネントのうち,体重減少,疲労感,活動量低下が主食・主菜・副菜を組み合わせた食事の頻度と関連していた.

Yokoyama Y, et al. Frequency of Balanced-Meal Consumption and Frailty in Community-Dwelling Older Japanese: A Cross-Sectional Study. J Epidemiol. 2019;29:370-376.

10)* 職域労働者の男性8,573名,女性3,327名において,主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上食べる頻度と3年間の体重変化及び糖代謝異常の発症との関連を前向きコホート研究において検討した結果,男性において主食・主菜・副菜を組み合わせた食事の頻度と体重増加が負に関連し,肥満の男性において主食・主菜・副菜を組み合わせた食事の頻度が低い者ほど糖代謝異常発症リスクが高かった.

Sakurai M,et al.Frequency of consumption of balanced meals, bodyweight gain and incident risk of glucose intolerance in Japanese men and women: A cohort study. J Diabetes Investig. 2021;12:763-770.

11)* 小学5年生185人の4日間の食事記録を用いた横断研究において,食事パタンを分類し,栄養素等摂取量の適正さを日本人の食事摂取基準(2020年版)の1日の3分の1の値より評価した結果,男子で「主食と主菜等を合わせた料理+主菜+副菜」,「主食+主菜+副菜」,女子では「主食と主菜等を合わせた料理+主菜+副菜」,「主食と主菜等を合わせた料理+副菜」,「主食+主菜+副菜」「主食と主菜等を合わせた料理+主菜」が食事摂取基準の基準値の「適正」に該当した栄養素の数が多かった.

塩原 由香. 小学生の1食の食事パタンにおける栄養素等摂取量の実態と適正さの評価, 栄養学雑誌, 2023;81:3-19.

12)* 30~69歳の日本人を対象に,主食・主菜・副菜を組み合わせた食事の頻度とBDHQにより把握した栄養素等摂取量及び食品群別摂取量を比較した結果,主食・主菜・副菜の摂取頻度が低い人ほど,海藻,魚介類,卵類の摂取量が少なく,たんぱく質,ビタミンB2,ビタミンB6,葉酸,ビタミンCについては推定平均必要量に満たない摂取量の者の割合が高かった.一方で,目標量については,主食・主菜・副菜の摂取頻度との関連は見られなかった.

Narumi-Hyakutake A et al. Relationship between Frequency of Meals Comprising Staple Grain, Main, and Side Dishes and Nutritional Adequacy in Japanese Adults: A Cross-Sectional Study. Nutrients. 2024;16:1628.

13)* 40~75歳の男性40,222人,女性47,350人を対象に約19年間追跡した大規模コホート研究において,厚生労働省が示す1食単位の食事ガイドである「健康な食事」と死亡リスクとの関連を検討した.その結果,健康な食事の遵守度が高い人ほど,男女ともに全死亡,脳血管疾患,呼吸器疾患による死亡リスクが低かった.さらに男性では,がん,循環器疾患,心疾患死亡のリスク低下も認められた

Takano M, et al. Association Between Adherence to the Japanese Meal-based Dietary Guideline and All-cause and Cause-specific Mortalities: A Japan Public Health Center-based Prospective Study. J Epidemiol. 2026;36(1):35-43.

 

参考1) 

FAOとWHOにより,"Healthy diets"のガイドラインが公表され,Adequate(過剰でも不足でもなく適切な範囲で必要な栄養素とる),Balanced(適切なエネルギーの範囲でエネルギー産生栄養素バランスを整える),Moderate(健康に悪影響を与える栄養素・食品は摂取を控えるか避ける),Diverse(栄養価の高い食品・食品群を幅広く取り入れる)の4つの要素が示された.

World Health Organization & Food and Agriculture Organization of the United Nations. What are healthy diets? Joint statement by the Food and Agriculture Organization of the United Nations and the World Health Organization.

 

要素:PFC比

1)* 日本人の食事摂取基準(2020年版)では,エネルギー産生栄養素バランスは,「エネルギーを産生する栄養素(energy-providing nutrients,macronutrients),すなわち,たんぱく質,脂質,炭水化物(アルコールを含む)とそれらの構成成分が総エネルギー摂取量に占めるべき割合(% エネルギー: %E)」として,これらの構成比率が,生活習慣病の発症予防及び重症化予防の観点から目標量として示されている.
18歳-49歳:たんぱく質(P) 13-20 %E,脂質(F)20-30 %E,炭水化物(C)50-65 %E
50歳-64歳:たんぱく質(P) 14-20 %E,脂質(F)20-30 %E,炭水化物(C)50-65 %E
65歳以上:たんぱく質(P) 15-20 %E,脂質(F)20-30 %E,炭水化物(C)50-65 %E.

厚生労働省.日本人の食事摂取基準(2020年版)

2)* 7つの前向きコホート研究(432,179名)のメタアナリシスにおいて,炭水化物エネルギー比率と死亡リスクとの関連を検討した結果,追跡期間中に40,181名が死亡し,U字型の関連を示した.炭水化物を動物性脂肪/たんぱく質に置換した場合,死亡リスクは増加した一方で,植物性脂肪/たんぱく質に置換した場合,死亡リスクは低下した.

Seidelmann SB, et al.: Lancet Public Health 2018; 3: e419–2

3)* 10件の前向きコホート研究のメタアナリシスにおいて,低炭水化物スコアと死亡リスクとの関連を検討した結果,総死亡及び循環器疾患死亡とのU字型の関連を示し,がん死亡との直線的にリスクが増加した.炭水化物を植物性脂肪/たんぱく質に置換した場合,総死亡リスクは低下した.

 Ghorbani Z, et al. Overall, plant-based, or animal-based low carbohydrate diets and all-cause and cause-specific mortality: A systematic review and dose-response meta-analysis of prospective cohort studies. Ageing Res Rev. 2023;90:101997.

4)* 18カ国13.5万人超の前向きコホート研究において,高炭水化物摂取は総死亡リスク上昇と有意に関連した一方で,総脂質,飽和・不飽和脂肪酸摂取は総死亡リスクの低下と関連した.総脂質,飽和・不飽和脂肪酸摂取は,心血管疾患リスクと関連しなかった.

Dehghan M, et al. Associations of fats and carbohydrate intake with cardiovascular disease and mortality in 18 countries from five continents (PURE): a prospective cohort study. Lancet. 2017;390(10107):2050-2062.

 

要素:食塩相当量

(項目No.26「スマートミールの食塩相当量は,1食「ちゃんと」は2.5g未満,「しっかり」は3.0g未満である」を含む)

 

1)* 日本人の食事摂取基準(2015年版) 目標量 男性8 g/日, 女性7 g/日.・日本人の食事摂取基準(2020年版) 目標量 男性7.5 g/日, 女性6.5 g/日.

厚生労働省.日本人の食事摂取基準(2015年版)厚生労働省.日本人の食事摂取基準(2020年版)

2) 英国では大規模な減塩キャンペーンが実施されており,2003-2011年英国健康調査の16歳以上のデータ(2003 N=9183, 2006 N=8762, 2008 N=8974 and 2011 N=4753)を用い,食塩摂取量,血圧,虚血性心疾患,脳血管疾患による死亡との関連をトレンド分析により検討した結果,2003年以降,食塩摂取量が減少し,それに伴い血圧値,循環器血管死亡率が低下した.

He FJ, et al. Salt reduction in England from 2003 to 2011: its relationship to blood pressure, stroke and ischaemic heart disease mortality. BMJ Open. 2014;4:e004549.

3)* INTERMAP研究に参加した日本を含む4カ国の40-59歳の男女4680名を対象とした横断研究において,尿中ナトリウム排泄量(非連続2回の24時間蓄尿)と血圧の関連は,基本的属性や生活習慣,各種栄養素摂取量(非連続の4日間の24時間思い出し法より)の影響を除外しても,有意な関連がみられた. 同様の関連は,Na/K比でもみられた.

Stamler J, et al: Relation of Dietary Sodium (Salt) to Blood Pressure and Its Possible modulation by other Dietary Factors: The INTERMAP study. Hypertension 2018; 71: 631-637.

4)* 2025年に発表されたGBD 2023解析(204カ国・地域)では,食事関連リスク要因が複数の慢性疾患の死亡・疾病負担に寄与していると推計された.主要な食事関連リスクとしては食塩の高摂取,精製度の低い穀類の摂取不足,果物の摂取不足,野菜の摂取不足などが挙げられており,これらは世界各地域で慢性疾患のリスク増加と関連している.

GBD 2023 Disease and Injury and Risk Factor Collaborators. Burden of 375 diseases and injuries, risk-attributable burden of 88 risk factors, and healthy life expectancy in 204 countries and territories, including 660 subnational locations, 1990-2023: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2023. Lancet. 2025; 406(10513):1873-1922.

PMID: 41092926

5)* 世界の疾病負荷研究2019(GBD 2019)のデータを用いて,日本における健康リスク因子別の死亡及び障害調整生存年数(DALYs)の寄与割合を推計した結果,喫煙,代謝系,アルコールに次いで,食塩摂取過剰,精製度の低い穀類の低摂取,果物の摂取不足がリスク要因として挙げられている.

Nomura S et al. Toward a third term of Health Japan 21 - implications from the rise in non-communicable disease burden and highly preventable risk factors. Lancet Reg Health West Pac. 2022;21:100377.

6) 米国における50~75歳の男女(n=213)を対象としたクロスオーバー試験において,低ナトリウム食(Na 500mg/日)と高ナトリウム食(通常食+2000mg/日)を1週間ずつ摂取させた結果,高ナトリウム食に比べ,低ナトリウム食摂取では,収縮期血圧が8mmHg有意に低く,年齢,性別,人種,高血圧の有無,ベースラインの血圧,糖尿病の有無,BMIによるサブグループでも同様の結果であった.

Gupta DK et al. Effect of Dietary Sodium on Blood Pressure: A Crossover Trial. JAMA. 2023;330:2258-2266.

7)* JPHC-NEXT妥当性研究に参加した35~80歳の日本人男女248名を対象とした4季節,計12日間の秤量食事調査により評価した食事バランスガイド遵守度が高いほど,年間5回の24時間蓄尿中Na排泄量は減少傾向,ナトカリ比は有意に減少した.

Yamagishi M, et al. High adherence to a food guide may be associated with lower 24-h urinary sodium excretion and sodium-to-potassium ratio, and higher potassium excretion. Clin Nutr ESPEN. 2025:146-154.

8)* JPHC研究に参加した45~74歳の日本人男女83,048名を対象に約20年間追跡した結果,男性では,FFQにより評価した食事からの食塩摂取量と,全死亡,早期NCD死亡リスクとの間に正の関連が,女性では脳血管疾患死亡リスクとの正の関連が確認された.Na/K比にすると,それぞれの関連は強まった.

Takachi R et al. Consumption of Sodium and Its Ratio to Potassium in Relation to All-Cause, Cause-Specific, and Premature Noncommunicable Disease Mortality in Middle-Aged Japanese Adults: A Prospective Cohort Study. J Nutr. 2025; 155(3): 945-956

 9)* 約41万人の米国成人を対象に約16年間追跡した結果,Na摂取量と,全死亡,心血管疾患死亡リスクとの間に有意な正の関連が確認された.Na単独よりもNa/K比がリスクと強く関連し,この傾向は男性よりも女性でより顕著であった.メタアナリシスも実施して,高ナトリウム摂取が心血管疾患リスクを高めることを確認した.

Gan L, et al. Sex-specific associations between sodium and potassium intake and overall and cause-specific mortality: a large prospective U.S. cohort study, systematic review, and updated meta-analysis of cohort studies. BMC Med. 2024;22(1):132.

 

参考1)* 

死亡関連指標の国際比較,世界規模での非感染性疾患リスク要因及び“健康な食事”について,国内外の疫学研究より概説されている.

津金 昌一郎. 日本人にとっての“健康な食事”とは何か?, フードシステム研究. 2020; 27: 80-87

参考2)* 

食塩の摂取は最小限(男性7.5g/日未満,女性6.5g/日未満(厚生労働省日本人の食事摂取基準))に.
・高塩分食品の摂取を控えることは胃がんの予防につながる.また,減塩は高血圧を予防し,循環器病予防にもつながる.
・減塩の効果は,子どもから高齢者まで世代に関わらず見られる.
「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」より

国立高度専門医療研究センター6機関の連携による 「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」

参考3)* 

NIPPON DATA80コホート研究に参加した30-79歳の男女8,283名を対象に24年間追跡した結果,3日間の食事のNa/K比と非線形に脳卒中及び心血管疾患による死亡と総死亡のリスク増加との関連がみられ,他の危険因子の影響を除外しても,同様の結果がみられた.

Okayama A, et al.; NIPPON DATA80 Research Group. Dietary sodium-to-potassium ratio as a risk factor for stroke, cardiovascular disease and all-cause mortality in Japan: the NIPPON DATA80 cohort study. BMJ Open. 2016;6(7):e011632.

参考4)*

日本高血圧学会の尿ナトリウム・カリウム比ワーキンググループによるコンセンサスステートメントにおいて,健常日本人の尿ナトカリ比の目標値として2未満を至適目標,4未満を実現可能目標に設定している.

Hisamatsu T et al. Japanese Society of Hypertension Working Group on Urine Sodium-to-Potassium Ratio. Practical use and target value of urine sodium-to-potassium ratio in assessment of hypertension risk for Japanese: Consensus Statement by the Japanese Society of Hypertension Working Group on Urine Sodium-to-Potassium Ratio. Hypertens Res. 2024; 47(12):3288-3302.

 

項目3.スマートミールに「おすすめ」と表示するなど,選択時にプロモーションされていることがわかる
要素:複合的な取り組み

1) 2019年4月~8月,東京都内の病院内コンビニエンスストア1店舗において,複数のナッジを組み合わせた取り組みを実施し,介入前と比べた売り上げの変化を把握した.研究デザインは,前後比較デザインとした. 情報の提供では,ヘルシーセットに「当店限定」や「先月の人気No1」等を表示した.また,カップ麺の食塩量は,実際の塩と目を引くイラストを用いて表示した.その他,品揃え,商品の配置,価格の配慮を実施した.その結果,介入期間中の売上(前年同月比)は,総売上,サラダ類,無糖飲料,弁当類,パスタ類が有意に増加し,加糖飲料,おにぎり,パン類が有意に減少した.カップ麺類の食塩含有量別販売構成比は,介入開始後,含有量の少ない商品割合が有意に増加した.

川畑 輝子, 他. 医療施設内コンビニエンスストアにおけるナッジを活用した食環境整備の試み. フードシステム研究 2021; 27:226-231.

要素:メニュー表への表示

2)* 2023年3月~4月,18歳以上のオランダ人を対象に,オンライン上にてレストランメニューに関する3つのナッジの検証が行われた.オンライン実験では,513人の参加者を4つの条件:①ナッジなし,②快楽的なラベル(ベジタリアンオプションを「職人仕込み」と提示),③シェフのおすすめ(ベジタリアンオプションを「シェフのお気に入り」と提示),④目立たせるナッジ(ベジタリアンオプションを枠で囲む)に割り当て,各条件でメニュー表に4つの選択肢(うち1つがベジタリアン)を提示した.参加者はメニューを1つ選び,その後,その食事の「美味しさ」と「満足感」を評価した.さらに,どのナッジが使用されたかを明らかにした上で,参加者がそれをどう受け止めたかを尋ねた.その結果,「快楽的なラベル」と「シェフのおすすめ」のナッジが,ベジタリアンメニューの選択を増加させることが示された.なお,「快楽的なラベル」は,食事の満足感の評価を向上させたが,美味しさの評価には影響を与えなかった.さらに,ナッジは概ね受け入れられ,参加者が(仮想)レストランに再訪する意図も高いことが示された.

Weijers RJ, et al. Nudging towards sustainable dining: Exploring menu nudges to promote vegetarian meal choices in restaurants. Appetite 2024; 198: 107376.

要素:メニュー表への表示

3)* スウェーデンに実在するレストランで4週間実施した準実験的フィールド研究である.全メニューをベジタリアンとし,週ごとに特定の料理を「Chef’s choice(シェフのおすすめ)」(専門家による推奨表示)または「Guests’ choice(お客様に人気)」(他者選択に基づく推奨表示)としてメニュー上で提示し,実際の販売データを分析した.その結果,もともと人気の高い料理では,専門家による推奨表示を追加しても選択の増加はみられなかった.一方,人気の低い料理では「Chef’s choice」によって選択が有意に増加したが,「Guests’ choice」では効果は確認されなかった.したがって,専門家による推奨表示は,利用者にとって馴染みのない,目新しい料理の選択を後押しする可能性が示唆された.

Kim A, et al. A field experiment on expert- versus social-based cues on dish selection in a restaurant. Journal of Environmental Psychology 2025; 108: 102806

4)*埼玉県にある地域飲食店1店舗で8週間実施した前後比較デザインの介入研究である.栄養バランスに配慮した定食を提供し,週ごとにメニュー表の表示内容を変更した.料理名と価格のみを示すA期間と,料理写真やおすすめポイント等を追加したB期間を設け,売上構成比の変化と,利用者へのインターネット調査により選択理由を把握した.その結果,写真等を追加したB期間では,定食を選んだ理由として「見た目が美味しそうだから」「野菜が多いから」と回答した割合が有意に高かった.したがって,メニュー表を通じて料理の魅力を視覚的にアピールすることは,利用者の評価軸に影響し,選択に繋がる可能性が示唆された.

千葉由美子, 他. 栄養バランスに配慮した食事の提供と選択に関連する要因の検討:地域飲食店におけるナッジを活用した介入研究. 日本公衆衛生雑誌 J-Stage 早期公開 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jph/advpub/0/advpub_25-077/_article/-char/ja

 

項目6.管理栄養士・栄養士がスマートミールの作成・確認に関与している
要素:管理栄養士・栄養士の関与

参考1) 

食事療法の実践にあたって,管理栄養士による指導が有効である.
管理栄養士による指導は,医師や他の医療スタッフによる指導に比べて,体重減少,HbA1cの改善,血中LDL-Cの低下において,いずれも有意な改善を認めたとしている.
「糖尿病診療ガイドライン2019」より

Møller G, et al. A systematic review and meta-analysis of nutrition therapy compared with dietary advice in patients with type 2 diabetes. Am J Clin Nutr. 2017;106:1394-1400.

参考2) 

食事療法の実践にあたって,管理栄養士による指導が有効である.
管理栄養士の指導によって,総エネルギー摂取量の適正化,栄養素バランスの是正が期待できる.
「糖尿病診療ガイドライン2019」より

Huang MC, et al. Prospective randomized controlled trial to evaluate effectiveness of registered dietitian-led diabetes management on glycemic and diet control in a primary care setting in Taiwan. Diabetes Care. 2010;33:233-239.

参考3) 

管理栄養士による栄養療法の教育が2型のみならず1型糖尿病の血糖コントロールに対して有効であることが系統的レビューにおいて示されていた.
「糖尿病診療ガイドライン2024」より

Franz MJ, et al. Academy of Nutrition and Dietetics Nutrition Practice Guideline for Type 1 and Type 2 Diabetes in Adults: Systematic Review of Evidence for Medical Nutrition Therapy Effectiveness and Recommendations for Integration into the Nutrition Care Process. J Acad Nutr Diet. 2017;117(10):1659-1679.

参考4) 

管理栄養士による栄養療法の教育が2型のみならず1型糖尿病の血糖コントロールに対して有効であることが系統的レビューにおいて示されていた.
「糖尿病診療ガイドライン2024」より

 

項目7.店内禁煙である
要素:受動喫煙の防止

1)* 受動喫煙による健康影響について安全域はなく,受動喫煙との関係が確実と判定された肺がん,脳卒中,心筋梗塞,乳幼児突然死症候群に限っても,年間15,000人が死亡すると推定されている.

厚生労働省 喫煙の健康影響に関する検討会編: 喫煙と健康. 喫煙の健康影響に関する検討会報告書, 平成28年8月.

2) 法律によって屋内の喫煙が禁止された国々では,心筋梗塞などの心疾患,脳卒中,COPD や喘息などの呼吸器疾患が約20-40%減少することが45 論文のメタ解析により報告されている. その効果は,禁煙化の範囲がレストラン,居酒屋・バーを含む国の方がそうでない国よりも大きいことも明らかになっている.

Tan CE, et al: Association between smoke-free legislation and hospitalizations for cardiac, cerebrovascular, and respiratory diseases: a meta-analysis. Circulation 2012; 126: 2177-2183.

3) また,法律によって屋内の喫煙が禁止されることにより,早産や子どもの喘息の入院が減少することも,11 論文のメタ解析により報告されている.

Been JV, et al: Effect of smoke-free legislation on perinatal and child health: a systematic review and meta-analysis. Lancet 2014; 383, 1549–1560.

4) 37研究をまとめたシステマティックレビューにおいて,建物内が全面禁煙化されることで,禁煙する人が増えることが報告されている.

Hopkins DP, et al: Smokefree policies to reduce tobacco use, A systematic review. Am J Prev Med 2010; 38: s275-s289.

5)* 愛知県全域の飲食店8,558店舗を対象とした横断研究において,禁煙化による顧客数や売り上げ減少などの影響は少ないことが報告されている.

宇佐美毅, 他: 飲食店における受動喫煙防止対策の実態と禁煙化による経営への影響についての考察. 日本公衆衛生雑誌 2012; 59: 440-446.

6)* 飲食店の全客席の禁煙化が営業収入に与える影響について,全国で営業されている単一ブランドのチェーンレストランの 5 年間の営業収入を分析した結果,客席を全面禁煙することにより営業収入が有意に増加するが,分煙化では有意な増加は認められないことが報告されている.

大和浩, 他: 某ファミリーレストラングループにおける客席禁煙化前後の営業収入の相対変化-未改装店,分煙店の相対変化との比較. 日本公衆衛生雑誌 2014; 61: 130-135.

7) 法律による公共の場所での喫煙の禁止は,受動喫煙の減少による循環器疾患リスク低減に寄与することが21ヵ国からの研究に基づくコクランレビューで報告されている.

Frazer K, et al. Legislative smoking bans for reducing harms from secondhand smoke exposure, smoking prevalence and tobacco consumption. Cochrane Database of Systematic Reviews 2016, Issue 2. Art. No.: CD005992.

8)* 都道府県別に「食べログ」「Retty」「ぐるなび」に掲載の飲食店の禁煙割合と有訴者率・通院者率・医療費・死亡率との関係について検討した結果, 禁煙割合は医療費と有意な負の相関が認められ,飲食店のジャンル別では,「カフェ・喫茶」「バー・お酒」,「レストラン」のいずれの店舗においても,禁煙割合と医療費とに負の相関が認められた.さらに,禁煙割合は主に脳血管疾患,脳梗塞,肺炎と負の相関が認められ,男性より女性での負の相関が強いことが報告されている.

川村 晃右, 他: 飲食店における禁煙実施状況と有訴者率・通院者率・医療費・死亡率との関係:都道府県別の資料による検討, 日本衛生学雑誌, 2019, 74: 1-7.

 

参考1)* 

・2020年4月に改正健康増進法と東京都受動喫煙防止条例が施行された.現行の法律や条例では,客席での喫煙が引き続き可能な飲食店(既存特定飲食提供施設)が存在するため,飲食店の禁煙化に地域差が生じる懸念がある.既存特定飲食提供施設を対象として,法律や条例施行前の飲食店の屋内客席喫煙ルールと施行後のルール変更に関する意向を把握し,法律や条例制定による屋内客席喫煙ルールへの影響を東京都,大阪府,青森県の20市区町村において検討した結果,法律や条例施行後に全面禁煙となる予定の店舗は,東京都で46.6%(55/118),大阪府で49.6%(113/228),青森県で48.6%(125/257)であると報告されている.

片岡 葵, 他: 受動喫煙対策に関する法律・条例施行に伴う既存特定飲食提供施設の屋内客席喫煙ルールの現状および変更意向に関する調査, 日本公衆衛生雑誌,2021;68:682-694.

参考2)* 

・他人のたばこの煙を避ける.
・受動喫煙により,がん,循環器病,高血圧,糖尿病,呼吸器疾患のリスクが増加する.
・妊婦の受動喫煙により,妊娠中・産褥期のうつ,早産,子どもの発達遅延のリスクが増加する可能性がある.
・子どもの受動喫煙により,乳幼児突然死症候群や呼吸器疾患のリスクが増加する.また,家庭内で受動喫煙を受けた子どもは,将来喫煙しやすいことも指摘されている.
・加熱式たばこも吸わない,煙も避ける.
・WHOは,たばこ葉を含む全てのたばこ製品は有害であるとの原則から,健康影響が不確かな現状においても,加熱式たばこを規制の対象にすべきとの見解を示している.
「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」より

国立高度専門医療研究センター6機関の連携による 「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」

必須項目


項目1.スマートミール(基準に合った食事)を提供している
要素:主食・主菜・副菜のそろう食事

1)* 40-59歳の男女(男性149名,女性150名)対象の4日間の24時間思い出し法による食事記録(INTERMAP研究)から主食・主菜・副菜のそろう食事回数を算出し,DRIs2015との関連を横断研究により検討した結果,回数が少ない者は,カリウム,V.A, VC. Caの摂取で不足のリスクが懸念された.

Koyama T, et al: Relationship of Consumption of meals including grain, fish and meat, and vegetable dishes to the prevention of nutrient deficiency The INTERMAP Toyama study. J Nutr Sci Vitaminol 2016; 62: 101-107.

2)* 自立高齢者76名を対象に主食・主菜・副菜を組み合わせた食事回数と栄養素摂取量との関連を横断研究により検討した結果,2日間の食事記録から,主食・主菜・副菜のそろう食事回数が多い者は,女性では食物繊維,VCが多かった.一方,男女ともに食塩摂取量も多かった.

小山達也, 他: 自立高齢者における,主食・主菜・副菜を組み合わせた食事の回数と栄養素等摂取量の関係. 日本栄養・食糧学会誌 2014; 67: 299-305.

3)* 2000~2017年に発表された論文を対象に,システマティックレビューを行った結果,12件が採択され,主食・主菜・副菜の揃った食事回数の多い人ほど,エネルギー,たんぱく質,各種ビタミン・ミネラルの摂取量が多く,日本人の食事摂取基準に合致していることが報告されていた.

黒谷佳代, 他: 主食・主菜・副菜を組み合わせた食事と健康・栄養状態ならびに食物・栄養素摂取状況との関連─国内文献データベースに基づくシステマティックレビュー─. 栄養学雑誌 2018; 76: 77-88. 

4)* 男性13,355名,女性15,724名を対象に1992年にアンケート調査を実施し,「食事バランスガイド」への遵守度(0-70点)を評価した.1997年まで追跡し,死亡との関連を前向きコホート研究により検討した結果,女性のみ,食事バランスガイドに沿った食事の人ほど総死亡,がん及び循環器疾患以外の死亡と循環器疾患による死亡リスクが低かった.

Oba S, et al.: Diet based on the Japanese Food Guide Spinning Top and subsequent mortality among men and women in a general Japanese population. J Am Diet Assoc 2009; 109: 1540-7. 

5)* 45-75歳の健康な一般住民7万9594人を対象にアンケート調査を実施し,「食事バランスガイド」遵守得点(0-70点)を算出した.約15年間の追跡における死亡との関連を前向きコホート研究により検討した結果,食事バランスガイドに沿った食事の人ほど総死亡リスクが低く,特に循環器疾患,とりわけ脳血管疾患による死亡リスクが低かった.

Kurotani K, et al.: Quality of diet and mortality among Japanese men and women: Japan Public Health Center based prospective study. BMJ 2016; 352: i1209.

6)* 2012年国民健康・栄養調査の6歳以上の協力者30269名の食事記録を用いた横断研究から,男女ともにいずれの年齢階級においても,主食・主菜・副菜の揃った食事回数が多い者ほど,たんぱく質,脂質,炭水化物,各種ビタミン・ミネラルの摂取量が日本人の食事摂取基準に合致していることが報告された.一方,主食・主菜・副菜の揃った食事回数が多い者ほど,飽和脂肪酸と食塩摂取量の目標量を超える者の割合が多いことが報告された.

Ishikawa-Takata, K. et al.: Frequency of meals that includes staple, main and side dishes and nutrient intake: Findings from the 2012 National Health and Nutrition Survey, Japan. Public Health Nutr 2020; 13;1-11.

7)* 60歳以上地域在住高齢者666人を対象に食物摂取頻度調査を実施し,食事バランスガイド得点を算出した.前向きコホート研究において3年間追跡し,サルコペニア評価指標との関連を検討した結果,食事バランスガイド得点が高い人ほど,骨格筋量指数(skeletal mastle mass index: SMI)が高く,女性に比べ,男性の方が顕著であった.

Huang CH, et al. Dietary Patterns and Muscle Mass, Muscle Strength, and Physical Performance in the Elderly: A 3-Year Cohort Study. J Nutr Health Aging. 2021;25:108-115.

8)* 平成29年11~12月実施の「食育に関する意識調査」(農林水産省)のデータを用い,20~95歳の1,781名(男性796名,女性985名)において,主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日に2回以上食べる頻度と主観的健康感との関連を横断研究により検討した結果,主食・主菜・副菜を組み合わせた食事が1日2回以上の日がほぼ毎日であることは,主観的健康感の良好さと関連していた.

坂本 達昭ら. 主食・主菜・副菜を組み合わせた食事の頻度と主観的健康感の関連—「食育に関する意識調査」データの解析より—, 日本健康教育学会誌, 2021;29:348-354.

9)* 65歳以上の高齢者912人において,主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上食べる頻度とフレイルとの関連を横断研究により検討した結果,主食・主菜・副菜を組み合わせた食事が1日2回以上の日がほぼ毎日の者ほどフレイルのオッズが低く,女性でより顕著であった.フレイルのコンポーネントのうち,体重減少,疲労感,活動量低下が主食・主菜・副菜を組み合わせた食事の頻度と関連していた.

Yokoyama Y, et al. Frequency of Balanced-Meal Consumption and Frailty in Community-Dwelling Older Japanese: A Cross-Sectional Study. J Epidemiol. 2019;29:370-376.

10)* 職域労働者の男性8,573名,女性3,327名において,主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上食べる頻度と3年間の体重変化及び糖代謝異常の発症との関連を前向きコホート研究において検討した結果,男性において主食・主菜・副菜を組み合わせた食事の頻度と体重増加が負に関連し,肥満の男性において主食・主菜・副菜を組み合わせた食事の頻度が低い者ほど糖代謝異常発症リスクが高かった.

Sakurai M,et al.Frequency of consumption of balanced meals, bodyweight gain and incident risk of glucose intolerance in Japanese men and women: A cohort study. J Diabetes Investig. 2021;12:763-770.

11)* 小学5年生185人の4日間の食事記録を用いた横断研究において,食事パタンを分類し,栄養素等摂取量の適正さを日本人の食事摂取基準(2020年版)の1日の3分の1の値より評価した結果,男子で「主食と主菜等を合わせた料理+主菜+副菜」,「主食+主菜+副菜」,女子では「主食と主菜等を合わせた料理+主菜+副菜」,「主食と主菜等を合わせた料理+副菜」,「主食+主菜+副菜」「主食と主菜等を合わせた料理+主菜」が食事摂取基準の基準値の「適正」に該当した栄養素の数が多かった.

塩原 由香. 小学生の1食の食事パタンにおける栄養素等摂取量の実態と適正さの評価, 栄養学雑誌, 2023;81:3-19.

12)* 30~69歳の日本人を対象に,主食・主菜・副菜を組み合わせた食事の頻度とBDHQにより把握した栄養素等摂取量及び食品群別摂取量を比較した結果,主食・主菜・副菜の摂取頻度が低い人ほど,海藻,魚介類,卵類の摂取量が少なく,たんぱく質,ビタミンB2,ビタミンB6,葉酸,ビタミンCについては推定平均必要量に満たない摂取量の者の割合が高かった.一方で,目標量については,主食・主菜・副菜の摂取頻度との関連は見られなかった.

Narumi-Hyakutake A et al. Relationship between Frequency of Meals Comprising Staple Grain, Main, and Side Dishes and Nutritional Adequacy in Japanese Adults: A Cross-Sectional Study. Nutrients. 2024;16:1628.

13)* 40~75歳の男性40,222人,女性47,350人を対象に約19年間追跡した大規模コホート研究において,厚生労働省が示す1食単位の食事ガイドである「健康な食事」と死亡リスクとの関連を検討した.その結果,健康な食事の遵守度が高い人ほど,男女ともに全死亡,脳血管疾患,呼吸器疾患による死亡リスクが低かった.さらに男性では,がん,循環器疾患,心疾患死亡のリスク低下も認められた

Takano M, et al. Association Between Adherence to the Japanese Meal-based Dietary Guideline and All-cause and Cause-specific Mortalities: A Japan Public Health Center-based Prospective Study. J Epidemiol. 2026;36(1):35-43.

 

参考1) 
FAOとWHOにより,"Healthy diets"のガイドラインが公表され,Adequate(過剰でも不足でもなく適切な範囲で必要な栄養素とる),Balanced(適切なエネルギーの範囲でエネルギー産生栄養素バランスを整える),Moderate(健康に悪影響を与える栄養素・食品は摂取を控えるか避ける),Diverse(栄養価の高い食品・食品群を幅広く取り入れる)の4つの要素が示された.

World Health Organization & Food and Agriculture Organization of the United Nations. What are healthy diets? Joint statement by the Food and Agriculture Organization of the United Nations and the World Health Organization.

 
要素:PFC比

1)* 日本人の食事摂取基準(2020年版)では,エネルギー産生栄養素バランスは,「エネルギーを産生する栄養素(energy-providing nutrients,macronutrients),すなわち,たんぱく質,脂質,炭水化物(アルコールを含む)とそれらの構成成分が総エネルギー摂取量に占めるべき割合(% エネルギー: %E)」として,これらの構成比率が,生活習慣病の発症予防及び重症化予防の観点から目標量として示されている.
18歳-49歳:たんぱく質(P) 13-20 %E,脂質(F)20-30 %E,炭水化物(C)50-65 %E
50歳-64歳:たんぱく質(P) 14-20 %E,脂質(F)20-30 %E,炭水化物(C)50-65 %E
65歳以上:たんぱく質(P) 15-20 %E,脂質(F)20-30 %E,炭水化物(C)50-65 %E.

厚生労働省.日本人の食事摂取基準(2020年版)

2)* 7つの前向きコホート研究(432,179名)のメタアナリシスにおいて,炭水化物エネルギー比率と死亡リスクとの関連を検討した結果,追跡期間中に40,181名が死亡し,U字型の関連を示した.炭水化物を動物性脂肪/たんぱく質に置換した場合,死亡リスクは増加した一方で,植物性脂肪/たんぱく質に置換した場合,死亡リスクは低下した.

Seidelmann SB, et al.: Lancet Public Health 2018; 3: e419–2

3)* 10件の前向きコホート研究のメタアナリシスにおいて,低炭水化物スコアと死亡リスクとの関連を検討した結果,総死亡及び循環器疾患死亡とのU字型の関連を示し,がん死亡との直線的にリスクが増加した.炭水化物を植物性脂肪/たんぱく質に置換した場合,総死亡リスクは低下した.

 Ghorbani Z, et al. Overall, plant-based, or animal-based low carbohydrate diets and all-cause and cause-specific mortality: A systematic review and dose-response meta-analysis of prospective cohort studies. Ageing Res Rev. 2023;90:101997.

4)* 18カ国13.5万人超の前向きコホート研究において,高炭水化物摂取は総死亡リスク上昇と有意に関連した一方で,総脂質,飽和・不飽和脂肪酸摂取は総死亡リスクの低下と関連した.総脂質,飽和・不飽和脂肪酸摂取は,心血管疾患リスクと関連しなかった.

Dehghan M, et al. Associations of fats and carbohydrate intake with cardiovascular disease and mortality in 18 countries from five continents (PURE): a prospective cohort study. Lancet. 2017;390(10107):2050-2062.

 
要素:食塩相当量
(項目No.26「スマートミールの食塩相当量は,1食「ちゃんと」は2.5g未満,「しっかり」は3.0g未満である」を含む)
 

1)* 日本人の食事摂取基準(2015年版) 目標量 男性8 g/日, 女性7 g/日.・日本人の食事摂取基準(2020年版) 目標量 男性7.5 g/日, 女性6.5 g/日.

厚生労働省.日本人の食事摂取基準(2015年版)厚生労働省.日本人の食事摂取基準(2020年版)

2) 英国では大規模な減塩キャンペーンが実施されており,2003-2011年英国健康調査の16歳以上のデータ(2003 N=9183, 2006 N=8762, 2008 N=8974 and 2011 N=4753)を用い,食塩摂取量,血圧,虚血性心疾患,脳血管疾患による死亡との関連をトレンド分析により検討した結果,2003年以降,食塩摂取量が減少し,それに伴い血圧値,循環器血管死亡率が低下した.

He FJ, et al. Salt reduction in England from 2003 to 2011: its relationship to blood pressure, stroke and ischaemic heart disease mortality. BMJ Open. 2014;4:e004549.

3)* INTERMAP研究に参加した日本を含む4カ国の40-59歳の男女4680名を対象とした横断研究において,尿中ナトリウム排泄量(非連続2回の24時間蓄尿)と血圧の関連は,基本的属性や生活習慣,各種栄養素摂取量(非連続の4日間の24時間思い出し法より)の影響を除外しても,有意な関連がみられた. 同様の関連は,Na/K比でもみられた.

Stamler J, et al: Relation of Dietary Sodium (Salt) to Blood Pressure and Its Possible modulation by other Dietary Factors: The INTERMAP study. Hypertension 2018; 71: 631-637.

4)  2025年に発表されたGBD 2023解析(204カ国・地域)では,食事関連リスク要因が複数の慢性疾患の死亡・疾病負担に寄与していると推計された.主要な食事関連リスクとしては食塩の高摂取,精製度の低い穀類の摂取不足,果物の摂取不足,野菜の摂取不足などが挙げられており,これらは世界各地域で慢性疾患のリスク増加と関連している.

GBD 2023 Disease and Injury and Risk Factor Collaborators. Burden of 375 diseases and injuries, risk-attributable burden of 88 risk factors, and healthy life expectancy in 204 countries and territories, including 660 subnational locations, 1990-2023: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2023. Lancet. 2025; 406(10513):1873-1922.

5) 世界の疾病負荷研究2019(GBD 2019)のデータを用いて,日本における健康リスク因子別の死亡及び障害調整生存年数(DALYs)の寄与割合を推計した結果,喫煙,代謝系,アルコールに次いで,食塩摂取過剰,精製度の低い穀類の低摂取,果物の摂取不足がリスク要因として挙げられている.

Nomura S et al. Toward a third term of Health Japan 21 - implications from the rise in non-communicable disease burden and highly preventable risk factors. Lancet Reg Health West Pac. 2022;21:100377.

6) 米国における50~75歳の男女(n=213)を対象としたクロスオーバー試験において,低ナトリウム食(Na 500mg/日)と高ナトリウム食(通常食+2000mg/日)を1週間ずつ摂取させた結果,高ナトリウム食に比べ,低ナトリウム食摂取では,収縮期血圧が8mmHg有意に低く,年齢,性別,人種,高血圧の有無,ベースラインの血圧,糖尿病の有無,BMIによるサブグループでも同様の結果であった.

Gupta DK et al. Effect of Dietary Sodium on Blood Pressure: A Crossover Trial. JAMA. 2023;330:2258-2266.

7)* JPHC-NEXT妥当性研究に参加した35~80歳の日本人男女248名を対象とした4季節,計12日間の秤量食事調査により評価した食事バランスガイド遵守度が高いほど,年間5回の24時間蓄尿中Na排泄量は減少傾向,ナトカリ比は有意に減少した.

Yamagishi M, et al. High adherence to a food guide may be associated with lower 24-h urinary sodium excretion and sodium-to-potassium ratio, and higher potassium excretion. Clin Nutr ESPEN. 2025:146-154.

8)* JPHC研究に参加した45~74歳の日本人男女83,048名を対象に約20年間追跡した結果,男性では,FFQにより評価した食事からの食塩摂取量と,全死亡,早期NCD死亡リスクとの間に正の関連が,女性では脳血管疾患死亡リスクとの正の関連が確認された.Na/K比にすると,それぞれの関連は強まった.

Takachi R et al. Consumption of Sodium and Its Ratio to Potassium in Relation to All-Cause, Cause-Specific, and Premature Noncommunicable Disease Mortality in Middle-Aged Japanese Adults: A Prospective Cohort Study. J Nutr. 2025; 155(3): 945-956

 9)* 約41万人の米国成人を対象に約16年間追跡した結果,Na摂取量と,全死亡,心血管疾患死亡リスクとの間に有意な正の関連が確認された.Na単独よりもNa/K比がリスクと強く関連し,この傾向は男性よりも女性でより顕著であった.メタアナリシスも実施して,高ナトリウム摂取が心血管疾患リスクを高めることを確認した.

Gan L, et al. Sex-specific associations between sodium and potassium intake and overall and cause-specific mortality: a large prospective U.S. cohort study, systematic review, and updated meta-analysis of cohort studies. BMC Med. 2024;22(1):132.

 

参考1)* 
死亡関連指標の国際比較,世界規模での非感染性疾患リスク要因及び“健康な食事”について,国内外の疫学研究より概説されている.

津金 昌一郎. 日本人にとっての“健康な食事”とは何か?, フードシステム研究. 2020; 27: 80-87

参考2)* 
食塩の摂取は最小限(男性7.5g/日未満,女性6.5g/日未満(厚生労働省日本人の食事摂取基準))に.
・高塩分食品の摂取を控えることは胃がんの予防につながる.また,減塩は高血圧を予防し,循環器病予防にもつながる.
・減塩の効果は,子どもから高齢者まで世代に関わらず見られる.
「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」より

国立高度専門医療研究センター6機関の連携による 「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」

参考3)* 
NIPPON DATA80コホート研究に参加した30-79歳の男女8,283名を対象に24年間追跡した結果,3日間の食事のNa/K比と非線形に脳卒中及び心血管疾患による死亡と総死亡のリスク増加との関連がみられ,他の危険因子の影響を除外しても,同様の結果がみられた.

Okayama A, et al.; NIPPON DATA80 Research Group. Dietary sodium-to-potassium ratio as a risk factor for stroke, cardiovascular disease and all-cause mortality in Japan: the NIPPON DATA80 cohort study. BMJ Open. 2016;6(7):e011632.

参考4)*
日本高血圧学会の尿ナトリウム・カリウム比ワーキンググループによるコンセンサスステートメントにおいて,健常日本人の尿ナトカリ比の目標値として2未満を至適目標,4未満を実現可能目標に設定している.

Hisamatsu T et al. Japanese Society of Hypertension Working Group on Urine Sodium-to-Potassium Ratio. Practical use and target value of urine sodium-to-potassium ratio in assessment of hypertension risk for Japanese: Consensus Statement by the Japanese Society of Hypertension Working Group on Urine Sodium-to-Potassium Ratio. Hypertens Res. 2024;47(12):3288-3302.

 
項目3.スマートミールに「おすすめ」と表示するなど,選択時にプロモーションされていることがわかる

要素:複合的な取り組み

1) 2019年4月~8月,東京都内の病院内コンビニエンスストア1店舗において,複数のナッジを組み合わせた取り組みを実施し,介入前と比べた売り上げの変化を把握した.研究デザインは,前後比較デザインとした. 情報の提供では,ヘルシーセットに「当店限定」や「先月の人気No1」等を表示した.また,カップ麺の食塩量は,実際の塩と目を引くイラストを用いて表示した.その他,品揃え,商品の配置,価格の配慮を実施した.その結果,介入期間中の売上(前年同月比)は,総売上,サラダ類,無糖飲料,弁当類,パスタ類が有意に増加し,加糖飲料,おにぎり,パン類が有意に減少した.カップ麺類の食塩含有量別販売構成比は,介入開始後,含有量の少ない商品割合が有意に増加した.

川畑 輝子, 他. 医療施設内コンビニエンスストアにおけるナッジを活用した食環境整備の試み. フードシステム研究 2021; 27:226-231.

要素:メニュー表への表示

2) 2023年3月~4月,18歳以上のオランダ人を対象に,オンライン上にてレストランメニューに関する3つのナッジの検証が行われた.オンライン実験では,513人の参加者を4つの条件:①ナッジなし,②快楽的なラベル(ベジタリアンオプションを「職人仕込み」と提示),③シェフのおすすめ(ベジタリアンオプションを「シェフのお気に入り」と提示),④目立たせるナッジ(ベジタリアンオプションを枠で囲む)に割り当て,各条件でメニュー表に4つの選択肢(うち1つがベジタリアン)を提示した.参加者はメニューを1つ選び,その後,その食事の「美味しさ」と「満足感」を評価した.さらに,どのナッジが使用されたかを明らかにした上で,参加者がそれをどう受け止めたかを尋ねた.その結果,「快楽的なラベル」と「シェフのおすすめ」のナッジが,ベジタリアンメニューの選択を増加させることが示された.なお,「快楽的なラベル」は,食事の満足感の評価を向上させたが,美味しさの評価には影響を与えなかった.さらに,ナッジは概ね受け入れられ,参加者が(仮想)レストランに再訪する意図も高いことが示された.

Weijers RJ, et al. Nudging towards sustainable dining: Exploring menu nudges to promote vegetarian meal choices in restaurants. Appetite 2024; 198: 107376.

要素:メニュー表への表示

3) スウェーデンに実在するレストランで4週間実施した準実験的フィールド研究である.全メニューをベジタリアンとし,週ごとに特定の料理を「Chef’s choice(シェフのおすすめ)」(専門家による推奨表示)または「Guests’ choice(お客様に人気)」(他者選択に基づく推奨表示)としてメニュー上で提示し,実際の販売データを分析した.その結果,もともと人気の高い料理では,専門家による推奨表示を追加しても選択の増加はみられなかった.一方,人気の低い料理では「Chef’s choice」によって選択が有意に増加したが,「Guests’ choice」では効果は確認されなかった.したがって,専門家による推奨表示は,利用者にとって馴染みのない,目新しい料理の選択を後押しする可能性が示唆された.

Kim A, et al. A field experiment on expert- versus social-based cues on dish selection in a restaurant. Journal of Environmental Psychology 2025; 108: 102806

4)埼玉県にある地域飲食店1店舗で8週間実施した前後比較デザインの介入研究である.栄養バランスに配慮した定食を提供し,週ごとにメニュー表の表示内容を変更した.料理名と価格のみを示すA期間と,料理写真やおすすめポイント等を追加したB期間を設け,売上構成比の変化と,利用者へのインターネット調査により選択理由を把握した.その結果,写真等を追加したB期間では,定食を選んだ理由として「見た目が美味しそうだから」「野菜が多いから」と回答した割合が有意に高かった.したがって,メニュー表を通じて料理の魅力を視覚的にアピールすることは,利用者の評価軸に影響し,選択に繋がる可能性が示唆された.

千葉由美子, 他. 栄養バランスに配慮した食事の提供と選択に関連する要因の検討:地域飲食店におけるナッジを活用した介入研究. 日本公衆衛生雑誌 J-Stage 早期公開https://www.jstage.jst.go.jp/article/jph/advpub/0/advpub_25-077/_article/-char/ja

 
項目6.管理栄養士・栄養士がスマートミールの作成・確認に関与している
要素:管理栄養士・栄養士の関与

参考1) 
食事療法の実践にあたって,管理栄養士による指導が有効である.
管理栄養士による指導は,医師や他の医療スタッフによる指導に比べて,体重減少,HbA1cの改善,血中LDL-Cの低下において,いずれも有意な改善を認めたとしている.
「糖尿病診療ガイドライン2019」より

Møller G, et al. A systematic review and meta-analysis of nutrition therapy compared with dietary advice in patients with type 2 diabetes. Am J Clin Nutr. 2017;106:1394-1400.

参考2) 
食事療法の実践にあたって,管理栄養士による指導が有効である.
管理栄養士の指導によって,総エネルギー摂取量の適正化,栄養素バランスの是正が期待できる.
「糖尿病診療ガイドライン2019」より

Huang MC, et al. Prospective randomized controlled trial to evaluate effectiveness of registered dietitian-led diabetes management on glycemic and diet control in a primary care setting in Taiwan. Diabetes Care. 2010;33:233-239.

参考3)
管理栄養士による栄養療法の教育が2型のみならず1型糖尿病の血糖コントロールに対して有効であることが系統的レビューにおいて示されていた.
「糖尿病診療ガイドライン2024」より

Franz MJ, et al. Academy of Nutrition and Dietetics Nutrition Practice Guideline for Type 1 and Type 2 Diabetes in Adults: Systematic Review of Evidence for Medical Nutrition Therapy Effectiveness and Recommendations for Integration into the Nutrition Care Process. J Acad Nutr Diet. 2017;117(10):1659-1679.

参考4) 
管理栄養士による栄養療法の教育が2型のみならず1型糖尿病の血糖コントロールに対して有効であることが系統的レビューにおいて示されていた.
「糖尿病診療ガイドライン2024」より

 
項目7.店内禁煙である
要素:受動喫煙の防止

1)* 受動喫煙による健康影響について安全域はなく,受動喫煙との関係が確実と判定された肺がん,脳卒中,心筋梗塞,乳幼児突然死症候群に限っても,年間15,000人が死亡すると推定されている.

厚生労働省 喫煙の健康影響に関する検討会編: 喫煙と健康. 喫煙の健康影響に関する検討会報告書, 平成28年8月.

2) 法律によって屋内の喫煙が禁止された国々では,心筋梗塞などの心疾患,脳卒中,COPD や喘息などの呼吸器疾患が約20-40%減少することが45 論文のメタ解析により報告されている. その効果は,禁煙化の範囲がレストラン,居酒屋・バーを含む国の方がそうでない国よりも大きいことも明らかになっている.

Tan CE, et al: Association between smoke-free legislation and hospitalizations for cardiac, cerebrovascular, and respiratory diseases: a meta-analysis. Circulation 2012; 126: 2177-2183.

3) また,法律によって屋内の喫煙が禁止されることにより,早産や子どもの喘息の入院が減少することも,11 論文のメタ解析により報告されている.

Been JV, et al: Effect of smoke-free legislation on perinatal and child health: a systematic review and meta-analysis. Lancet 2014; 383, 1549–1560.

4) 37研究をまとめたシステマティックレビューにおいて,建物内が全面禁煙化されることで,禁煙する人が増えることが報告されている.

Hopkins DP, et al: Smokefree policies to reduce tobacco use, A systematic review. Am J Prev Med 2010; 38: s275-s289.

5)* 愛知県全域の飲食店8,558店舗を対象とした横断研究において,禁煙化による顧客数や売り上げ減少などの影響は少ないことが報告されている.

宇佐美毅, 他: 飲食店における受動喫煙防止対策の実態と禁煙化による経営への影響についての考察. 日本公衆衛生雑誌 2012; 59: 440-446.

6)* 飲食店の全客席の禁煙化が営業収入に与える影響について,全国で営業されている単一ブランドのチェーンレストランの 5 年間の営業収入を分析した結果,客席を全面禁煙することにより営業収入が有意に増加するが,分煙化では有意な増加は認められないことが報告されている.

大和浩, 他: 某ファミリーレストラングループにおける客席禁煙化前後の営業収入の相対変化-未改装店,分煙店の相対変化との比較. 日本公衆衛生雑誌 2014; 61: 130-135.

7) 法律による公共の場所での喫煙の禁止は,受動喫煙の減少による循環器疾患リスク低減に寄与することが21ヵ国からの研究に基づくコクランレビューで報告されている.

Frazer K, et al. Legislative smoking bans for reducing harms from secondhand smoke exposure, smoking prevalence and tobacco consumption. Cochrane Database of Systematic Reviews 2016, Issue 2. Art. No.: CD005992.

8)* 都道府県別に「食べログ」「Retty」「ぐるなび」に掲載の飲食店の禁煙割合と有訴者率・通院者率・医療費・死亡率との関係について検討した結果, 禁煙割合は医療費と有意な負の相関が認められ,飲食店のジャンル別では,「カフェ・喫茶」「バー・お酒」,「レストラン」のいずれの店舗においても,禁煙割合と医療費とに負の相関が認められた.さらに,禁煙割合は主に脳血管疾患,脳梗塞,肺炎と負の相関が認められ,男性より女性での負の相関が強いことが報告されている.

川村 晃右, 他: 飲食店における禁煙実施状況と有訴者率・通院者率・医療費・死亡率との関係:都道府県別の資料による検討, 日本衛生学雑誌, 2019, 74: 1-7.

 

参考1)* 
・2020年4月に改正健康増進法と東京都受動喫煙防止条例が施行された.現行の法律や条例では,客席での喫煙が引き続き可能な飲食店(既存特定飲食提供施設)が存在するため,飲食店の禁煙化に地域差が生じる懸念がある.既存特定飲食提供施設を対象として,法律や条例施行前の飲食店の屋内客席喫煙ルールと施行後のルール変更に関する意向を把握し,法律や条例制定による屋内客席喫煙ルールへの影響を東京都,大阪府,青森県の20市区町村において検討した結果,法律や条例施行後に全面禁煙となる予定の店舗は,東京都で46.6%(55/118),大阪府で49.6%(113/228),青森県で48.6%(125/257)であると報告されている.

片岡 葵, 他: 受動喫煙対策に関する法律・条例施行に伴う既存特定飲食提供施設の屋内客席喫煙ルールの現状および変更意向に関する調査, 日本公衆衛生雑誌,2021;68:682-694.

参考2)* 
・他人のたばこの煙を避ける.
・受動喫煙により,がん,循環器病,高血圧,糖尿病,呼吸器疾患のリスクが増加する.
・妊婦の受動喫煙により,妊娠中・産褥期のうつ,早産,子どもの発達遅延のリスクが増加する可能性がある.
・子どもの受動喫煙により,乳幼児突然死症候群や呼吸器疾患のリスクが増加する.また,家庭内で受動喫煙を受けた子どもは,将来喫煙しやすいことも指摘されている.
・加熱式たばこも吸わない,煙も避ける.
・WHOは,たばこ葉を含む全てのたばこ製品は有害であるとの原則から,健康影響が不確かな現状においても,加熱式たばこを規制の対象にすべきとの見解を示している.
「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」より

国立高度専門医療研究センター6機関の連携による 「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」

オプション項目


項目8.スマートミールの主食が週3日以上,精製度の低い穀類である
要素:穀類

1) 45件の前向きコホート研究をまとめたメタ解析において,未精製穀類の摂取が多いほど冠動脈疾患リスクが低いことが報告されている.
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」及び「糖尿病診療ガイドライン2024」より

Aune D, et al: Whole grain consumption and risk of cardiovascular disease, cancer, and all cause and cause specific mortality: systematic review and dose-response meta-analysis of prospective studies. BMJ. 2016; 353: i2716.

2)* 19-68歳の血圧正常な男女944名を対象に,玄米など,糠を除去していない全粒穀物の摂取頻度と3年後の高血圧発症との関連を前向きコホート研究において検討した結果,全粒穀類を時々またはいつも摂取する群は,全く食べない群に比べ,高血圧発症のリスクが低いことが報告されている.

Kashino I. et al.: Prospective Association between Whole Grain Consumption and Hypertension: The Furukawa Nutrition and Health Study. Nutrients. 2020;12:902.

3)* 2025年に発表されたGBD 2023解析(204カ国・地域)では,食事関連リスク要因が複数の慢性疾患の死亡・疾病負担に寄与していると推計された.主要な食事関連リスクとしては食塩の高摂取,精製度の低い穀類の摂取不足,果物の摂取不足,野菜の摂取不足などが挙げられており,これらは世界各地域で慢性疾患のリスク増加と関連している.(再掲)

GBD 2023 Disease and Injury and Risk Factor Collaborators. Burden of 375 diseases and injuries, risk-attributable burden of 88 risk factors, and healthy life expectancy in 204 countries and territories, including 660 subnational locations, 1990-2023: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2023. Lancet. 2025; 406(10513):1873-1922.

4)* 日本人の研究を含む22のRCTのメタ解析により,精製穀類を全粒穀物に置き換えた際,血清総コレステロール値,LDLーコレステロール値,ヘモグロビンA1c値及びCRP値が低下することが報告されている.

Marshall S, et al. The Effect of Replacing Refined Grains with Whole Grains on Cardiovascular Risk Factors: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials with GRADE Clinical Recommendation. J Acad Nutr Diet. 2020;120:1859-1883.e31.

5)* 世界の疾病負荷研究2019(GBD 2019)のデータを用いて,日本における健康リスク因子別の死亡及び障害調整生存年数(DALYs)の寄与割合を推計した結果,喫煙,代謝系,アルコールに次いで,食塩摂取過剰,精製度の低い穀類の低摂取,果物の摂取不足がリスク要因として挙げられている.(再掲)

Nomura S et al. Toward a third term of Health Japan 21 - implications from the rise in non-communicable disease burden and highly preventable risk factors. Lancet Reg Health West Pac. 2022;21:100377.

6)* 全粒穀類46件,精製穀類22件の前向き研究のメタ解析により,精製穀類は明らかな関連は示されなかったものの,全粒穀類の摂取が多い者は冠状動脈性心疾患,循環器疾患の発症及び総死亡のリスクが低いことが報告されている.

Schulze MB, et al: Fiber and magnesium intake and incidence of type 2 diabetes: a prospective study and meta-analysis. Arch Intern Med. 2007; 167: 956-965.

7)* 9件の前向きコホート研究をまとめたメタ解析において,食物繊維が糖尿病発症リスクを低減するという報告が多くみられる.

Schulze MB, et al: Fiber and magnesium intake and incidence of type 2 diabetes: a prospective study and meta-analysis. Arch Intern Med. 2007; 167: 956-965.

8)* 日本人の研究を含む8件の前向きコホート研究をまとめたメタ解析において,玄米の摂取が導尿病発症リスクを低減することが報告されている.
「糖尿病診療ガイドライン2024」より

Yu J, et al. White rice, brown rice and the risk of type 2 diabetes: a systematic review and meta-analysis. BMJ Open. 2022;12(9):e065426

9)* 日本の成人を対象に,白米の30%および80%を玄米に置き換えた際の影響を予測した結果,10年間で2型糖尿病の新規発症を1.3〜3.4%抑制し,3,130万〜8,050万ドルの医療費削減が可能と推定された.

Ikeda N, et al: Health and Economic Impacts of Increased Brown Rice Consumption on Type 2 Diabetes in Japan: A Simulation Study, 2019-2029. Nutrients. 2025 Jan 31;17(3):532.

 

項目10.スマートミールの主食量を,選択または調整することができることがメニュー選択時にわかる
要素:主食(炭水化物)

1) 肥満者男女148名において,低糖質食と低脂質食による1年間の介入を行ったところ,エネルギー摂取量に群間差はなかったものの,低糖質食群では低脂質食群に比べて体重減少量が大きく,内臓脂肪の減少率も高いことが報告されている.
「肥満症診療ガイドライン2016」より

Bazzano LA, et al: Effects of low-carbohydrate and low-fat diets: a randomized trial. Ann Intern Med. 2014; 161: 309-318.

2) 45~64歳の米国人男女15,428人を25年間追跡し,炭水化物摂取量が50~55%エネルギーであった集団で最も低い総死亡率と最も長い平均期待余命が観察された.
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書より

Seidelmann SB, et al. Dietary carbohydrate intake and mortality: a prospective cohort study and meta-analysis. Lancet Public Health. 2018;3(9):e419-e428.

 

項目11.スマートミールの主菜の主材料として,週3日以上,魚を提供している
要素:魚

1)* 日本を含む4か国の栄養と血圧に関する国際共同研究(INTERMAP)に参加した40-59歳男女を対象とした横断研究において,魚由来のn3多価不飽和脂肪酸の摂取量が多い者は血圧が低い傾向にあることが報告されている.

Ueshima H, et al: Food omega-3 fatty acid intake of individuals (total, linolenic acid, long-chain)and their blood pressure: INTERMAP study. Hypertension 2007; 50: 313-319.

2)* 41,578人の40-59歳男女を対象とした日本の前向きコホート研究では,魚摂取量の最も少ない群に比べてその他の群ではいずれも心筋梗塞の発症リスクが下がることが報告されている.
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」より

Iso H, et al: Intake of fish and n3 fatty acids and risk of coronary heart disease among Japanese: the Japan Public Health Center-Based (JPHC) Study Cohort I. Circulation 2006; 113: 195-202.

3)* 57,972人の男女を対象とした日本の前向きコホート研究では,魚摂取の多い群で心血管疾患死亡率が少ないことが報告されている.
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」より

Yamagishi K, et al: Fish, omega-3 polyunsaturated fatty acids, and mortality from cardiovascular diseases in a nationwide community-based cohort of Japanese men and women the JACC (Japan Collaborative Cohort Study for Evaluation of Cancer Risk) Study. J Am Coll Cardiol 2008; 52: 988-996.

4)* 9,190人の日本人男女を対象とした日本の前向きコホート研究では,魚摂取の多い群で心血管疾患死亡率が少ないことが報告されている.
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」より

Miyagawa N, et al: Long-chain n-3 polyunsaturated fatty acids intake and cardiovascular diseasemortality risk in Japanese: a 24-year follow-up of NIPPON DATA80.Atherosclerosis 2014; 232: 384-389.

5) 53,163人を対象としたデンマークの前向きコホート研究において,赤肉を魚に置換することで,糖尿病の発症リスクが低下した.

Ibsen, D.B., et al.: Substitution of red meat with poultry or fish and risk of type 2 diabetes: a Danish cohort study. Eur J Nutr 2019;58(7):2705-2712.

6) 57,053人を対象としたデンマークの前向きコホート研究において,赤肉を魚に置換することで,大動脈アテローム性動脈硬化症の発症リスクが低下した.

Venø SK, et al.: Substitution of Fish for Red Meat or Poultry and Risk
of Ischemic Stroke. Nutrients. 2018; 10: 1648.

7) 55,171人を対象としたデンマークの前向きコホート研究において,赤肉を魚に置換することで,心筋梗塞の発症リスクが低下した.

Würtz AML, et al.: Substitutions of red meat, poultry and fish and risk of myocardial infarction. Br J Nutr. 2016; 115: 1571–1578.

8)* 11の前向き研究に基づくシステマティックレビューにおいて,アジアでは直線的な魚摂取増加により心筋梗塞リスクが低下した.

Jayedi A. et al. Fish consumption and risk of myocardial infarction: a systematic review and dose-response meta-analysis suggests a regional difference. Nutr Res. 2019;62:1-12.

9)* 日本人を対象とした前向きコホート研究を対象としたナラティブレビューにおいて,魚及び長鎖n-3系多価不飽和脂肪酸の摂取の多い群で非感染性疾患,特に心血管疾患リスクが低いことが報告されている.

Umesawa M, et al. Intake of fish and long-chain n-3 polyunsaturated fatty acids and risk of diseases in a Japanese population: a narrative review. Eur J Clin Nutr. 2021 ;75:902-920.

10)* ノルウェーの65歳以上の高齢者4,350人を対象とした前向き研究において,週4日以上の魚の摂取により8年後のプレフレイル発症リスクが低下した.さらに,21年間継続して魚を高頻度に摂取することで,長期間のプレフレイル発症リスクを低減した.

Konglevoll DM, et al. Fish intake and pre-frailty in Norwegian older adults - a prospective cohort study: the Tromsø Study 1994-2016. BMC Geriatr. 20235;23:411.

11)* 12件の前向きコホート研究をまとめたメタ解析において,魚の摂取量が最も多い群において総死亡リスクが低く,非線形的な関連がみられた.

Zhao LG, et al. Fish consumption and all-cause mortality: a meta-analysis of cohort studies. Eur J Clin Nutr. 2016;70:155-61.

12) 英国のEPIC-Oxford studyの参加者約4.8万人を対象に平均18年間追跡し,meat eater (肉を食べる),fish eater(魚を食べるが肉は食べない),ベジタリアンについて検討した結果,fish eaterはmeat eaterと比較して,虚血性心疾患のリスクが13%有意に低いことが示された.一方で,脳卒中のリスクについては,fish eaterとmeat eaterに有意な差は確認されなかった.

Tong TYN, et al. Risks of ischaemic heart disease and stroke in meat eaters, fish eaters, and vegetarians over 18 years of follow-up: results from the prospective EPIC-Oxford study. BMJ 2019;366:l4897

13) 魚介類摂取と慢性疾患リスクとの関連について,前向きコホート研究に基づくメタ解析を体系的にレビューした.2019年10月までに公表された観察研究のメタ解析34件(298件のコホート研究,40アウトカム)を対象とした.中等度のエビデンスにより,魚介類摂取量が100g/日増加するごとに,全死亡,心血管死亡,冠動脈疾患,心筋梗塞,脳卒中,心不全,うつ病,肝がんのリスク低下が示された.一方,多くのがんでは有意な関連は認められず,エビデンスの質は低〜非常に低であった.

Jayedi A, et al. Fish Consumption and the Risk of Chronic Disease: An Umbrella Review of Meta-Analyses of Prospective Cohort Studies. Adv Nutr. 2020; 1;11(5):1123-1133.

14) 魚介類摂取と全死亡および心血管疾患死亡(CVD)との関連における地域差を検討することを目的とした.2016年9月までにPubMedおよびScopusで検索された前向きコホート研究を対象に,用量反応メタ解析を実施した.14件の前向きコホート研究(参加者91万人超,死亡例約7.5万人)が含まれ,魚介類摂取量が20g/日増加するごとに,CVD死亡リスクは有意に低下し,全死亡リスクもわずかな低下が示された.サブグループ解析では,有意な関連はアジアの研究に限定され,西洋諸国では両アウトカムともに約20g/日を底とするU字型の関連が示唆された.一方,アジアでは線形の関連が認められた.

Jayedi A, et al. Fish consumption and risk of all-cause and cardiovascular mortality: a dose-response meta-analysis of prospective observational studies. Public Health Nutr. 2018; 21(7):1297-1306.

15)* 1980年に実施されたNIPPON DATA80を用い,30歳以上の男女8,879人を19年間追跡し,魚介類摂取頻度と全死亡および死因別死亡との関連を解析した.その結果,追跡期間中に1,745人が死亡したが,魚介類を「週1~2回摂取する者」と比べて「1日2回以上摂取する者」における全死亡,脳卒中,脳出血,脳梗塞,冠動脈疾患死亡のリスクに有意な差は認められなかった.本研究では,魚介類摂取と死亡リスク低下との関連は支持されなかったが,多くの対象者が既に先行研究で有益とされる摂取量の閾値を超えていた可能性によるものと考えられた.

Nakamura Y, et al. Association between fish consumption and all-cause and cause-specific mortality in Japan: NIPPON DATA80, 1980-99. Am J Med. 2005;118(3):239-45.

 

参考1)* ・魚を多く摂取する.

・魚を多く摂取することにより,循環器病予防につながる.
・妊婦は魚介類を多く摂ることにより,妊娠高血圧症候群,早産予防につながる.
・妊婦では極端に偏った魚介類の摂取による水銀摂取に一定の注意が必要である.
「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」より

国立高度専門医療研究センター6機関の連携による 「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」

 

項目12. スマートミールの主菜の主材料として,週3日以上,大豆・大豆製品を提供している
要素:大豆・大豆製品

1)* 40-59歳の男女40,462人を対象とした日本のコホート研究では,大豆の摂取頻度が高いと女性で脳梗塞発症リスクと心筋梗塞のリスクが低いことが報告されている.
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版」より

Kokubo Y, et al: Association of dietary intake of soy, beans, and isoflavones with risk of cerebral and myocardial infarctions in Japanese populations: the Japan Public Health Center-based (JPHC) study cohort I. Circulation 2007; 116: 2553-2562.

2)* 40-69歳の男性926人,女性3,239人を対象とした日本のコホート研究において,みそや納豆などの発酵性大豆製品の摂取量が多いと高血圧発症リスクが低いことが報告されている.

Nozue M, et al.; Fermented Soy Product Intake Is Inversely Associated with the Development of High Blood Pressure: The Japan Public Health Center-Based Prospective Study. J Nutr. 2017; 147:1749-1756.

3)* 日本を中心とした7件の前向き研究に基づくシステマティックレビューにおいて,大豆摂取と総死亡及び循環器疾患・がんによる死亡との統計学的に有意な関連はみられなかったものの,発酵性大豆製品の摂取量と循環器疾患リスク低下との関連が報告されている.

Namazi N. et al. Soy product consumption and the risk of all-cause, cardiovascular and cancer mortality: a systematic review and meta-analysis of cohort studies. Food Funct. 2018;9:2576-2588.

4)* 92,915人の45-74歳男女を対象とした日本の前向きコホート研究において,発酵性大豆食品,特に納豆の摂取が多いと総死亡リスク及び心血管死亡リスクが低いことが報告されている.

Katagiri R. et al. Association of soy and fermented soy product intake with total and cause specific mortality: prospective cohort study. BMJ. 2020;368:m34.

備考:同コホート研究からの報告(JPHC study)

5) 40-69歳の韓国人女性4713人を対象とした前向きコホート研究において,閉経前女性において,大豆製品摂取量及び大豆イソフラボン摂取量が多いと循環器疾患リスクが低いことが報告されている.

Im J, Park K. Association between Soy Food and Dietary Soy Isoflavone Intake and the Risk of Cardiovascular Disease in Women: A Prospective Cohort Study in Korea. Nutrients. 2021; 22;13:1407.

6)* 日本人を含む81の前向き研究に基づくシステマティックレビュー・メタ解析において,大豆の高摂取ががん発症リスク低下と関連し,25g大豆摂取量が増えるごとに4%リスクが低下していた.大豆イソフラボンもがん発症リスク低下との関連がみられたが,大豆たんぱく質は関連がみられなかった.しかしながら,いずれもがん死亡との関連は示されなかった.

Fan Y, et al. Intake of Soy, Soy Isoflavones and Soy Protein and Risk of Cancer Incidence and Mortality. Front Nutr. 2022;9:847421.

7)* 1980年国民栄養調査に参加した9,244名の日本人において,男性及び65歳以上の女性では豆腐摂取と脳卒中死亡との明らかな関連は示されなかったが,65歳未満の女性において豆腐摂取量が多いほど脳卒中死亡リスクが低いことが報告されている.
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2022年版」より

Nguyen HN, et al. Dietary tofu intake and long-term risk of death from stroke in a general population. Clin Nutr. 2018;37(1):182-188.

8)* 35歳以上の男性13,355人,女性15,724人を対象とした日本のコホート研究において,納豆摂取量が多いものほど心血管疾患死亡リスクが低いことが報告されている.
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2022年版」より

Nagata C, et al. Dietary soy and natto intake and cardiovascular disease mortality in Japanese adults: the Takayama study. Am J Clin Nutr. 2017;105(2):426-431.

9)*・43件のRCTに基づくメタ解析において,大豆たんぱく質(中央値25g/6週間)により,LDLコレステロール値及び総コレステロール値が低下することが報告されている.
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2022年版」より

Blanco Mejia S, et al. A Meta-Analysis of 46 Studies Identified by the FDA Demonstrates that Soy Protein Decreases Circulating LDL and Total Cholesterol Concentrations in Adults. J Nutr. 2019;149(6):968-981.

10) 18件の前向きコホート研究のメタアナリシス(計61万超の女性を対象)において,大豆摂取量が多いほど乳がん罹患リスクが有意に低下することが示された(RR = 0.89, 95% CI: 0.79–0.99).特にアジアで顕著(RR = 0.76, 95% CI: 0.65–0.86)で,欧米諸国では有意な関連はみられなかった(RR = 0.97, 95% CI: 0.87–1.06).

Dong JY, Qin LQ. Soy isoflavones consumption and risk of breast cancer incidence or recurrence: a meta-analysis of prospective studies. Breast Cancer Res Treat 2011;125:315–323.

11) 15件の前向きコホート研究のメタアナリシスにより,大豆食品の摂取と前立腺がんリスクの関連を評価した.大豆食品摂取量が多い群では,少ない群に比べリスクが有意に低下(RR = 0.74, 95% CI: 0.63 - 0.89)することが確認された.食品別では,非発酵大豆食品で有意な低下(RR = 0.70, 95% CI: 0.56 - 0.88)が見られたが,発酵大豆食品では関連が認められなかった(RR = 1.02, 95% CI: 0.73 – 1.42).

Yan L , Spitznagel E L. Soy consumption and prostate cancer risk in men: a revisit of a meta-analysis. Am J Clin Nutr 2009;89:1155-1163.

12) JPHC研究に参加した45~74歳の日本人男女41,447名を対象に約9年間追跡した結果,男女とも,総大豆製品やイソフラボンと認知症リスクとの関連は確認されなかった.個別の食品では,男性では関連は見られませんでしたが,女性では納豆摂取が多いグループで認知症リスクが低下する傾向があった.

Murai U, et al. Soy product intake and risk of incident disabling dementia: the JPHC Disabling Dementia Study. Eur J Nutr. 2022 Dec;61(8):4045-4057.

 

参考1) ・大豆製品を多く摂取する.・大豆製品を多く摂ることにより,脂質異常症の改善,循環器病予防につながる.発酵性大豆食品を多く摂取することにより,早死,血圧高値やがんの予防につながる.

・大豆製品を多く摂ることにより,妊娠中の脂質異常症やインスリン抵抗性,うつ症状の改善につながる可能性がある.子どもが大豆製品を多く摂ることにより,成人以降の乳がん予防につながる可能性が示されてる.
・大豆イソフラボンのサプリメント摂取には注意が必要である.
「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」より

国立高度専門医療研究センター6機関の連携による 「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」

 

項目13. スマートミールに,栄養成分表示(エネルギー,たんぱく質,脂質,炭水化物,食塩相当量)を示している
要素:栄養成分表示

1)* 栄養表示利用行動と健康・栄養状態との関連についての海外文献9件,国内文献9件をまとめた系統的レビューにおいて,健康・栄養状態に問題のある者の方が栄養表示をよく利用していることが報告されている.

西尾素子, 他: 栄養表示利用行動と健康・栄養状態との関連についての系統的レビュー. 日健教誌. 2015; 23: 109-122.

2)* 20-69歳男女742人を対象とした横断研究において,健康な成人では,食品ラベルのナトリウム表示をみて食品を購入すると回答した女性は,他の女性よりも尿中ナトリウム排泄量が低い傾向にあることが報告されている.

Uechi K, et al: Simple questions in salt intake behavior assessment: comparison with urinary sodium excretion in Japanese adults.Asia Pac J Clin Nutr 2017; 26: 769-780.

3)* 683人の一般の成人を対象としたアンケート調査結果を用いた横断研究において,食品ラベルのナトリウム量を正しく食塩量に換算できる人は約8人に1人であったことから,食品ラベルへの食塩相当量の表示が必要であると示唆された.

Okuda N, et al.; Understanding of sodium content labeled on food packages by Japanese people. Hypertens Res. 2014; 37: 467-71.

 

項目14. スマートミールの栄養成分表示に,飽和脂肪酸の量を示している
要素:飽和脂肪酸

 

1) 飽和脂肪酸の摂取量は,糖尿病の発症リスクになり,多価不飽和脂肪酸がこれを低減するとしており,動物性脂質(飽和脂肪酸)の相対的な増加が,糖尿病発症リスクになるものと考えられる.「糖尿病診療ガイドライン(2019)」より

Wang L, et al: Plasma fatty acid composition and incidence of diabetes in middle-aged adults: the Atherosclerosis Risk in Communities (ARIC) Study. Am J Clin Nutr 2003; 78: 91-98.

2) 20-69歳男女742人を対象とした横断研究において,健康な成人では,食品ラベルのナトリウム表示をみて食品を購入すると回答した女性は,他の女性よりも尿中ナトリウム排泄量が低い傾向にあることが報告されている.

Hodge AM, et al: Plasma phospholipid and dietary fatty acids as predictors of type 2 diabetes:interpreting the role of linoleic acid. Am J Clin Nutr 2007; 86: 189-197.

3)  飽和脂肪酸の摂取量は,糖尿病の発症リスクになり,多価不飽和脂肪酸がこれを低減するとしており,動物性脂質(飽和脂肪酸)の相対的な増加が,糖尿病発症リスクになるものと考えられる.

Hodge AM, et al: Plasma phospholipid and dietary fatty acids as predictors of type 2 diabetes:interpreting the role of linoleic acid. Am J Clin Nutr 2007; 86: 189-197.

4)・飽和脂肪酸の摂取量は,糖尿病の発症リスクになり,多価不飽和脂肪酸がこれを低減するとしており,動物性脂質(飽和脂肪酸)の相対的な増加が,糖尿病発症リスクになるものと考えられる.

Guasch-Ferré M, et al. Total and subtypes of dietary fat intake and risk of type 2 diabetes mellitus in the Prevención con Dieta Mediterránea (PREDIMED) study. Am J Clin Nutr. 2017;105:723-735.

5) 15件のRCTをまとめたシステマティックレビュー(コクラン)では,適正な総エネルギー摂取量のもので飽和脂肪酸を減らすこと,または飽和脂肪酸を多価不飽和脂肪酸に置換することは血清脂質の改善に有効で,冠動脈疾患発症の予防にも有効であることが報告されている.
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」より

Hooper L, et al: Reduction in saturated fat intake for cardiovascular disease. Cochrane Database Syst Rev 2015; 10: CD011737.

6)* 日本人の食事摂取基準(2020年版) 目標量 7%エネルギー―以下.

厚生労働省.日本人の食事摂取基準(2020年版)

7) 2010年以降の研究を対象にアップデートしたシステマティックレビューによると,飽和脂肪酸を多価不飽和脂肪酸や一価不飽和脂肪酸,もしくは全粒穀類に置き換えることで,冠動脈疾患発症・死亡リスクが低下することが報告されている.特に,多価不飽和脂肪酸に置き換えた場合に顕著である.

Clifton P.M. et al. A systematic review of the effect of dietary saturated and polyunsaturated fat on heart disease. Nutr Metab Cardiovasc Dis. 2017;27:1060-1080.

8) 日本の研究を含む14件の前向きコホート研究をまとめたメタ解析において,飽和脂肪酸の摂取量が多いほど脳卒中リスクが低下し,10g/日摂取量が増加するほどリスクが6%低下することが報告されている.

Kang ZQ, et al. Dietary saturated fat intake and risk of stroke: Systematic review and dose-response meta-analysis of prospective cohort studies. Nutr Metab Cardiovasc Dis. 2020;10:179-189.

9) 13件の前向きコホート研究をまとめたメタ解析において,飽和脂肪酸の摂取と2型糖尿病発症リスクとの関連は明らかでなかった.
「糖尿病診療ガイドライン2024」より

Gaeini Z, et al. Saturated Fatty Acid Intake and Risk of Type 2 Diabetes: An Updated Systematic Review and Dose-Response Meta-Analysis of Cohort Studies. Adv Nutr. 2022;13(6):2125-2135.

10) 10件の前向きコホート研究をまとめたメタ解析において,2型糖尿病発症に対する奇数鎖飽和脂肪酸の保護的効果と,偶数鎖飽和脂肪酸の炭素巣によって違いがあるとの報告がある.
「糖尿病診療ガイドライン2024」より

Huang L, et al. Circulating Saturated Fatty Acids and Incident Type 2 Diabetes: A Systematic Review and Meta-Analysis. Nutrients. 2019;11(5):998. doi: 10.3390/nu11050998.

11) 3~12件のコホート研究をまとめたメタ解析において,飽和脂肪酸摂取量と全死亡,心血管疾患死亡,冠動脈疾患死亡,虚血性脳卒中死亡のいずれとも有意な関連は確認されなかった.

de Souza RJ, et al. Intake of saturated and trans unsaturated fatty acids and risk of all cause mortality, cardiovascular disease, and type 2 diabetes: systematic review and meta-analysis of observational studies. BMJ. 2015;351:h3978.

12) 11件のコホート研究(計344,696人)を統合したプール解析において,飽和脂肪酸を5%E多価不飽和脂肪酸に置き換えた場合,冠動脈疾患発症リスクが13%,死亡リスクが26%有意に低下した.一方で,炭水化物に置き換えた場合は発症リスクが7%有意に上昇し,一価不飽和脂肪酸への置換では有意な関連は認められなかった.

Jakobsen MU, et al. Major types of dietary fat and risk of coronary heart disease: a pooled analysis of 11 cohort studies. Am J Clin Nutr 2009; 89: 1425-32

13) 8件のランダム化比較試験(計13,614人)を対象としたメタ解析において,飽和脂肪酸を多価不飽和脂肪酸に置き換えた結果,冠動脈疾患リスクが19%有意に低下した.5%EをPUFAへ置換するごとに冠動脈疾患リスクは10%減少し,試験期間が長いほどその効果は大きかった.

Mozaffarian D, et al. Effects on coronary heart disease of increasing polyunsaturated fat in place of saturated fat: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. PLoS Med. 2010;7(3):e1000252.

14) 5件のランダム化比較試験(計10,808人)のメタ解析と,未公開データを含むミネソタ冠動脈実験(9,423人)の再解析において,飽和脂肪酸をリノール酸に置換した結果,血清コレステロール値は低下したが,冠動脈疾患死や全死亡のリスク低減は確認されなかった.

Ramsden CE, et al. Re-evaluation of the traditional diet-heart hypothesis: analysis of recovered data from Minnesota Coronary Experiment (1968-73). BMJ. 2016; 353: i1246.

15) 59件のシステマティックレビューを対象としたスコーピングレビューにおいて,飽和脂肪酸の摂取量自体は慢性疾患リスクと関連がなかった.飽和脂肪酸を多価不飽和脂肪酸や一価不飽和脂肪酸に置き換えたRCTのシステマティックレビューを対象としたスコーピングレビューではことで血中脂質や血糖制御が改善することが確認された.

Schwingshackl L, et al. Total Dietary Fat Intake, Fat Quality, and Health Outcomes: A Scoping Review of Systematic Reviews of Prospective Studies. Ann Nutr Metab. 2021;77(1):4-15.

16) 複数のメタ解析を基にしたレビューにおいて,飽和脂肪酸の摂取制限が心血管疾患や全死亡リスクを下げるとする有益な証拠は確認されず,むしろ脳卒中に対しては予防的に働くことが示された.SFAはLDLコレステロールを上昇させるが,これは心血管疾患リスクとの関連が低い大型粒子である.無加工肉や全脂乳製品,ダークチョコレートなど,複雑な構造を持つSFA含有食品はCVDリスクを高めないため,一律の摂取制限を支持する根拠は不十分である.

Astrup A, et al. Saturated Fats and Health: A Reassessment and Proposal for Food-Based Recommendations: JACC State-of-the-Art Review. J Am Coll Cardiol. 2020;76(7):844-857.

17) EAT-Lancet委員会では,プラネタリーヘルスダイエットの基準として「植物性食品を主体とし,動物性食品の摂取は適度にとどめ,添加糖類・飽和脂肪酸・塩分の摂取を最小限に抑えた,バランスの取れた食事パターン」を提唱している.

Rockström J, et al. The EAT-Lancet Commission on healthy, sustainable, and just food systems. Lancet. 2025;406(10512):1625-1700.

 

参考1)* 

・年齢に応じて脂質や乳製品,たんぱく質摂取を工夫する.
・脂質(飽和脂肪酸)を摂りすぎないことは動脈硬化・虚血性心疾患の予防に有効であることが期待される.一方で,飽和脂肪酸の摂取を推奨する介入研究からのエビデンスはないが,飽和脂肪酸が不足すると脳卒中リスクが増加する可能性は否定できない.高齢者では低栄養予防の観点から適度な脂質摂取が好ましい場合がある.
「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」より

国立高度専門医療研究センター6機関の連携による 「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」

 

項目15. スマートミールが1日2種以上ある
要素:商品の品ぞろえ

 

1)* 2019年4月~8月,東京都内の病院内コンビニエンスストア1店舗において,複数のナッジを組み合わせた取り組みを実施し,介入前と比べた売り上げの変化を把握した.研究デザインは,前後比較デザインとした. 商品の品揃えとして,「ヘルシーセット」を曜日ごとに内容を変えて販売,飲料コーナーの加糖飲料の販売割合を50%未満に,カップ麺コーナーでは1食4g以下の商品を増やした.その他,商品の配置,情報の提供,価格の配慮(インセンティブ)を実施した.その結果,介入期間中の売上(前年同月比)は,総売上,サラダ類,無糖飲料,弁当類,パスタ類が有意に増加し,加糖飲料,おにぎり,パン類が有意に減少した.カップ麺類の食塩含有量別販売構成比は,介入開始後,含有量の少ない商品割合が有意に増加した.

川畑 輝子, 他. 医療施設内コンビニエンスストアにおけるナッジを活用した食環境整備の試み. フードシステム研究 2021; 27(4): 226-231.

備考:項目No.3の表示及びプロモーションとインセンティブ(項目No.16)にも該当する.

 

要素:デフォルトオプション

2) 2020年7月,米国在住の成人377名を3つの異なるシナリオに無作為に割り付け,実験を行った.シナリオは, ファストフードのドライブスルーでコンボミールを注文する設定で,(1)顧客が選択したコンボ(選択コンボ),(2)従来の高カロリーデフォルト商品を含むコンボ(従来のコンボ),(3)低カロリー最適デフォルト商品を含むコンボ(最適コンボ食)のいずれかに割り当てた.その結果,選択コンボ食と比較して,最適コンボ食では顧客が注文するエネルギーが減少した(-337kcal,標準誤差=19,P<0.001)が,従来コンボ食では増加した(+132kcal,標準誤差=20,P<0.001).

Diaz-Beltran M, et al. Fast-food optimal defaults reduce calories ordered, as well as dietary autonomy: A scenario-based experiment. J Acad Nutr Diet 2023; 123(1): 65-76.

 

項目16. スマートミールを選択するためのインセンティブがある
要素:値引き

 

1)* 東京都足立区が同区内26のを1週間実施した.研究デザインは,単群のクロスオーバー試験とした.野菜増量メニューの注文割合は,キャンペーン前の1週間(対照期間)では6.8%,キャンペーン期間中は9.0%であった.気温や天候といった要因の影響を除いても,対照期間に比べてキャンペーン期間中の1日当たりの野菜増量メニューの注文者の割合は1.50倍,1日当たりの飲食店の売り上げは50円引きの負担を差し引いても1.77倍になった.普段の外食時の平均昼食代が最も少ないグループにおいて,キャンペーン期間の野菜増量メニューの注文者割合が増加した.

Nagatomo W., et al. Effectiveness of a low-value financial-incentive program for increasing vegetable-rich restaurant meal selection and reducing socioeconomic inequality: a cluster crossover trial. Int J Behav Nutr Phys Act 2019; 16: 81.

2)* 2019年4月~8月,東京都内の病院内コンビニエンスストア1店舗において,複数のナッジを組み合わせた取り組みを実施し,介入前と比べた売り上げの変化を把握した.インセンティブとして,「ヘルシーセット」を職員限定価格で販売した.その他,品揃え,商品の配置,情報の提供を実施した.その結果,介入期間中の売上(前年同月比)は,総売上,サラダ類,無糖飲料,弁当類,パスタ類が有意に増加し,加糖飲料,おにぎり,パン類が有意に減少した.カップ麺類の食塩含有量別販売構成比は,介入開始後,含有量の少ない商品割合が有意に増加した.

川畑 輝子, 他. 医療施設内コンビニエンスストアにおけるナッジを活用した食環境整備の試み. フードシステム研究 2021; 27(4): 226-231.

3) 2014年4月までにPubmedなど複数のデータベースに登録された論文を対象に,様々なタイプの店頭介入(Point-of-Purchase:POS)の効果について検討されたシステマティックレビューによると,最終的に該当した32件中,金銭的インセンティブ単独の介入の効果を検証した論文は4件であった.その結果,適切な金銭的インセンティブが顧客に提供された場合,短期介入ではあるが,より健康的な食品の購入および/または摂取を増加させるのに効果的であることが示唆された.ただし,長期的な介入研究や主要アウトカムに影響を及ぼす可能性のある媒介因子についての研究が不十分であった.

Liberato, S.C., et al. Bailie, R. & Brimblecombe, J. Nutrition interventions at point-of-sale to encourage healthier food purchasing: a systematic review. BMC Public Health 2014; 14: 919.

4) 2020年4月に6つのデータベースを用いたシステマティックレビューを実施した.36件の研究が質的統合に含まれ,30件の研究がメタアナリシスに含まれ,72の店舗内介入の組み合わせに相当した.店舗内介入の効果量に関する分析の結果,価格設定,および価格設定とプロモーションやプロンプティングの組み合わせが,購買行動に効果的に影響を与えたことが示された.介入は,健康的な商品と不健康な商品の両方の売上に有意な影響を与え,果物と野菜,健康的な飲料,健康的な商品の総量の売上を有意に増加させた.しかし,全体的なエビデンスの質が比較的低いこと,介入の種類によっては研究数や観察数が少ないことが課題である.

Slapø H, et al. Efficiency of In-Store Interventions to Impact Customers to Purchase Healthier Food and Beverage Products in Real-Life Grocery Stores: A Systematic Review and Meta-Analysis. Foods. 2021; 10(5): 922.

5) 本研究は,健康的な食品(果物や野菜を含む)の価格引き下げによる食品の購入および消費への影響を評価することを目的に,システマティックレビューとメタアナリシスを実施した.電子データベース(MEDLINE,EconLit,Embase,Cinahl,Cochrane Library,Web of Science)を用いて2013年1月1日から2021年12月20日までに発表された関連研究を言語の制限なく検索した.また,参考文献のハンドサーチを行った.最終的に,対象となった研究は34件で,そのうち15件は高所得国のスーパーマーケットで実施され,8件は職場の食堂で実施された.また,21件は社会経済的に不利なコミュニティを対象としていた.14件の研究のメタアナリシスによると,価格が20%引き下げられると,果物と野菜の購入量は16.62%増加(95% CI 12.32~20.91)した.ただし,6カ月以上にわたって価格の引き下げを実施した研究はわずかであった.

Huangfu P, et al. Impact of price reductions, subsidies, or financial incentives on healthy food purchases and consumption: a systematic review and meta-analysis. Lancet Planet Health 2024; 8(3): e197 - e212.

 

項目17.メニューに漬物や汁物をつけないことができ.メニュー選択時にわかるように表示している
 要素:食塩

 

1)* 健康な20-69歳男性196人,女性196人を対象とした横断研究において,総ナトリウム摂取量(不連続4日間の食事記録より)に対し寄与率の高い食品群は,1番目が調味料(男性61.7%,女性62.9%),2番目が魚介類(干物/缶詰含む)(男性6.7%,女性6.6%),3番目は男性で麵類(4.9%),女性でパン類(5.0%)であった.

Asakura K, et al: Sodium sources in the Japanese diet: difference between generations and sexes. Public Health Nutr 2016; 19: 2011-2023.

2)* 国民健康・栄養調査結果に基づき,食塩摂取源となっている食品のランキングをした結果,カップ麺,インスタントラーメンに次いで,梅干し,漬物がランクインした.

医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 栄養疫学・食育研究部. 日本人はどんな食品から食塩をとっているか?―国民健康・栄養調査での摂取実態の解析から―. (Webページ)

3)* JPHC-NEXT妥当性研究に参加した35〜80歳の男女253名を対象とした4季節,計12日間の秤量食事調査により評価した結果,年間5回の24時間尿中Na排泄量への寄与は,食品別では醤油等の調味料に続き味噌汁(13.3%)の寄与が最大であった.回帰分析の結果,漬物や魚介類,味噌汁が尿中Na排出量と強く関連していた.

Ogawa F, et al: Dietary sodium sources according to four 3-d weighed food records and their association with multiple 24-h urinary excretions among middle-aged and elderly Japanese participants in rural areas. Br J Nutr. 2023 Jun 14;129(11):1955-1963.

 

項目18. ソースやマヨネーズなとの調味料を別添えで提供している
要素:食塩

 

1)* 40-59歳の日本人4680名を対象とした横断研究において,総ナトリウム摂取量(不連続4日間の24時間思い出し法より)に対し寄与率の高い食品群は,1番目が調味料(醤油20%,食塩9%,ソース等その他の調味料4%),2番目が味噌汁10%であった.

Anderson CA, et al: Dietary sources of sodium in China, Japan, the United Kingdom, and the United States, women and men aged 40 to 59 years: the INTERMAP study. J Am Diet Assoc 2010; 110: 736-45.

2) UK Biobank参加者50万例を対象に食事への食塩追加頻度と早期死亡リスクおよび平均余命の関係を前向きコホート研究において検討した結果,食塩追加頻度の高い者ほど早期死亡リスクが高く,平均余命が短かった.

Ma H, et al. Adding salt to foods and hazard of premature mortality. Eur Heart J. 2022;43:2878-2888.

 

項目19. 野菜70g以上のメニューを提供している(サラダバーを含む)
要素:野菜

 

1)* 9112人を対象とした前向きコホート研究において,野菜の摂取は冠動脈疾患および脳卒中リスクを低減させる可能性が報告されている.
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」より

Okuda N, et al: Fruit and vegetable intake and mortality from cardiovascular disease in Japan: a 24-year follow-up of the NIPPON DATA80 Study. Eur J Clin Nutr 2015; 69: 482-488.

2)* 40,349人の男女を対象とした前向きコホート研究において,緑黄色野菜の摂取は冠動脈疾患および脳卒中リスクを低減させる可能性が報告されている.
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」より

Sauvaget C, et al: Vegetable and fruit intake and stroke mortality in the Hiroshima/Nagasaki Life Span Study. Stroke 2003; 34: 2355-2360.

3)* 食事パターンと心血管疾患死亡リスクとの関連について,40-79歳の一般住民男性26,598人,女性37,439人を対象とした大規模前向きコホート研究における検討を行った結果,3つの主要な食事パターン(野菜型,動物性食品型,乳製品型)が見出され,「野菜型」および「乳製品型」の食事パターンに近いことがそれぞれ心血管疾患死亡リスクの低下と関連していることが報告されている.

Maruyama K, et al: Dietary patterns and risk of cardiovascular deaths among middle-aged Japanese: JACC Study. Nutr Metab Cardiovasc Dis 2013; 23: 519-527.

4)* 日本の複数のコホート研究より,野菜の高摂取に特徴づけられる食事パターンとがん,循環器疾患,糖尿病リスク低下との関連が報告されている.

農林水産省. 「食育」ってどんないいことがあるの?. P11

5)* 食事バランスガイドに沿った人ほど循環器疾患死亡リスクが低いという関連は,特に副菜の摂取量が多い人で顕著であることが,45-75歳の男性36,624人,女性42,970人を対象とした前向きコホート研究において報告されている.

Kurotani K, et al.: Quality of diet and mortality among Japanese men and women: Japan Public Health Center based prospective study. BMJ 2016; 352: i1209.

6)* 成人における野菜摂取と総死亡及び死因別死亡との関連を調べた16件の前向きコホート研究をまとめたシステマティックレビューでは,野菜摂取量の多い人ほど,総死亡及び循環器疾患による死亡リスクが低いことが報告されている.なお,アジアにおける研究に限定すると,明らかな関連は見られなかった.
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」より

Wang X, Ouyang Y, Liu J, et al. Fruit and vegetable consumption and mortality from all causes, cardiovascular disease, and cancer: systematic review and dose-response meta-analysis of prospective cohort studies. BMJ. 2014;349:g4490.

7)*(留意点)
食品群別のナトリウム摂取量(不連続4日間の24時間思い出し法より)とナトリウム排泄量(24時間畜尿より)との関連は,漬物野菜及び煮もの野菜において,有意な傾向性の関連が報告されている6) ことから,野菜の調理法には注意が必要.

Okuda N, et al: Food sources of dietary sodium in the Japanese adult population: the international study of macro-/micronutrients and blood pressure (INTERMAP). Eur J Nutr 2017; 56: 1269-1280.

8) UK Biobank参加者50万例を対象に食事への食塩追加頻度と早期死亡リスクおよび平均余命の関係を検討した結果,食塩追加頻度の高い者ほど早期死亡リスクが高かったが,野菜摂取量の多い群では食塩追加による死亡リスク増加が抑制された.

Ma H, et al. Adding salt to foods and hazard of premature mortality. Eur Heart J. 2022;43:2878-2888.

備考:項目No.18の文献2)の層別解析

10)* 94,658人の日本人男女を対象とした前向きコホート研究において,野菜摂取量の多い者ほど総死亡のリスクが低いことが報告されている.

Sahashi Y, et al. Inverse Association between Fruit and Vegetable Intake and All-Cause Mortality: Japan Public Health Center-Based Prospective Study. J Nutr. 2022;6:2245-2254.

11)* 50~79歳の日本人42,643人を対象とした前向きコホート研究において,男性では,野菜,特にアブラナ科の野菜,女性では野菜,果物,緑色野菜とネギ類野菜の摂取量が多い者ほど認知症リスクが低いことが報告されている.さらに,ビタミンCの摂取量が多い者ほど認知症リスクが低いことが報告されている.

Kishida R et al. Fruit and Vegetable Intake and Risk of Disabling Dementia: Japan Public Health Center Disabling Dementia Study. J Nutr. 2024;154:1842-1852.

12)* 95件の前向きコホート研究を用いたメタ解析において,野菜・果物の摂取量が増加するほど冠動脈疾患,脳卒中,心血管疾患,がん,全死亡のリスクが低いことが報告されている.
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」より,野菜・果物については,欧米を中心としたコホート研究のメタ解析では,野菜あるいは果物,あるいは両者を合わせた摂取は用量依存的に総死亡,心血管疾患死亡および冠動脈疾患発症,脳卒中発症,あるいは2型糖尿病発症リスクを低下させている.

Aune D, et al. Fruit and vegetable intake and the risk of cardiovascular disease, total cancer and all-cause mortality-a systematic review and dose-response meta-analysis of prospective studies. Int J Epidemiol. 2017;46(3):1029-1056.

13)* 10件の前向きコホート研究を用いたメタ解析において,野菜全体の摂取による2型糖尿病発症リスクの有意な低下は見られなかったものの,緑黄色野菜の摂取によるリスク低下が報告されている.
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」より

Li M, Fan Y, Zhang X, Hou W, Tang Z. Fruit and vegetable intake and risk of type 2 diabetes mellitus: meta-analysis of prospective cohort studies. BMJ Open. 2014;4(11):e005497.

14) 約190万人を対象とした26件のコホート研究のメタ解析により,果物・野菜を1日5サービング(果物2,野菜3)の摂取で全死亡および心血管疾患,がん,呼吸器疾患による死亡リスクが最小となる非線形の負の相関が確認された.それ以上の摂取で追加の効果は見られず,また芋類やジュースではリスク低減が認められなかった.

Wang DD, et al. Fruit and Vegetable Intake and Mortality: Results From 2 Prospective Cohort Studies of US Men and Women and a Meta-Analysis of 26 Cohort Studies. Circulation 2021;143:1642-54.

LinkIcon PMID: 33641343

15) 8カ国の男女約13.5万人を対象とした多国籍コホート研究において,果物・野菜・豆類の合計摂取量と死亡リスクの関連を調べた結果,1日3〜4サービング(375〜500g相当)の摂取で全死亡リスクが22%減少し,最も低いリスクを示した.それ以上の摂取による更なるリスク低減は見られなかった.

Miller V, et al. Fruit, vegetable, and legume intake, and cardiovascular disease and deaths in 18 countries (PURE): a prospective cohort study. Lancet. 2017 Nov 4;390(10107):2037-2049.

参考1)* 
・野菜,果物は適切に,食物繊維は多く摂取する.
・野菜,果物は適切に,食物繊維は多く摂取することにより,がん,循環器病,糖尿病,妊娠高血圧症候群の予防につながる
・成人では,1日に野菜350g,果物200g,食物繊維17〜21gを目標に摂取することが推奨されている.
「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」より

国立高度専門医療研究センター6機関の連携による 「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」

 

項目20, 牛乳・乳製品を提供している
要素:牛乳・乳製品

1)* 食事パターンと心血管疾患死亡リスクとの関連について,40-79歳の一般住民男性26,598人,女性37,439人を対象とした大規模前向き研究における検討を行った結果,3つの主要な食事パターン(野菜型,動物性食品型,乳製品型)が見出され,「野菜型」および「乳製品型」の食事パターンに近いことがそれぞれ心血管疾患死亡リスクの低下と関連していることが報告されている.

Maruyama K, et al: Dietary patterns and risk of cardiovascular deaths among middle-aged Japanese: JACC Study. Nutr Metab Cardiovasc Dis 2013; 23: 519-527.

LinkIcon PMID: 22410388

2)* (留意点1)牛乳・乳製品は,「食事バランスガイド」において1日に2SV:牛乳に換算すると約200ml(206g)の摂取が推奨されている.

厚生労働省・農林水産省.フードガイド(仮称)検討会報告書, 平成17年7月.

3)* (留意点2)国民(20歳以上男女総数)の牛乳・乳製品の摂取量は,平均値 110.7g(中央値70.0g)の現状である ため,適切に摂取することが勧められる.

厚生労働省.令和元年国民健康・栄養調査報告

4) 27件の前向き研究に基づくメタ解析において,食事由来のカルシウムの高摂取が全死亡リスク低下と関連していた.カルシウムの平均摂取量が700mg未満及び700㎎以上の集団に分けた層別解析においても,カルシウムの高摂取が全死亡リスク低下と関連していることが示された.

Pana TA, et al. Calcium intake, calcium supplementation and cardiovascular disease and mortality in the British population: EPIC-norfolk prospective cohort study and meta-analysis. Eur J Epidemiol. 2021;36(7):669-683.

5)* 日本人の食事摂取基準(2025年版)では,カルシウムの不足回避の観点から,推定平均必要量と推奨量が示されている.

〇推定平均必要量
男性:18歳-49歳:650㎎,30歳以上:600㎎
女性:18歳-74歳:550㎎,75歳以上:500㎎
〇推奨量
男性:18歳-29歳:800㎎,30歳以上:750㎎
女性:18歳-74歳:650㎎,75歳以上:600㎎

厚生労働省.日本人の食事摂取基準(2025年版)

6) 7つの前向き研究に基づくメタ解析において,乳製品の高摂取が炎症性腸疾患(IBD)の発症リスク低下と関連していた.

Talebi S, et al. The Association between Total Protein, Animal Protein, and Animal Protein Sources with Risk of Inflammatory Bowel Diseases: A Systematic Review and Meta-Analysis of Cohort Studies. Adv Nutr. 2023;14:752-761.

7)* 43117人の男性及び50,193人の女性を対象とした前向きコホート研究において,男性では乳製品の摂取場が多いほど全死亡と循環器疾患死亡のリスクが低いことが報告されている.一方で女性は明らかな関連は認められなかった.

Ge S, et al. Associations between dairy intake and mortality due to all-cause and cardiovascular disease: the Japan Public Health Center-based prospective study. Eur J Nutr. 2023;62:2087-2104.

8)* 20~74歳の60,633人の男女を対象とした横断研究で,全乳摂取が1日1回以上の者は不眠症のオッズが低いことが報告されている.男女別の結果では,女性においてのみ,同様の結果が報告されている.

Sato Y et al. The association between milk and dairy products intake and insomnia symptoms among Japanese adults in community-based cohort. Nutr Health. 2024;2601060241283133.

9)* 日本の10件のコホート研究(約40万人)を統合したプール解析において,牛乳を「ほぼ毎日」摂取する男性は,週1回未満の群と比べ全死亡リスクが6%,心血管疾患死が11%,脳血管疾患死が19%有意に低下した.女性でも脳血管疾患死が10%低下した.乳製品全体では,男女ともに中程度の摂取(第2・第3四分位)で全死亡リスクの低下が見られ,男性ではがん死亡リスクも低下した.ヨーグルトやチーズでは明確な関連は見られなかった.

Lu Y, et al. Association between dairy intake and all-cause and cause-specific mortality: a pooled analysis of 0.4 million Japanese adults from 10 population-based cohort studies. Int J Epidemiol. 2025;54(6):dyaf180.

LinkIcon PMID: 41283782

10) 世界がん研究基金による2018年の報告書では,牛乳・乳製品の摂取は大腸がんのリスクを「おそらく低下させる(Probable)」と評価.一方,高カルシウム食が前立腺がんのリスクを上げる可能性も示唆も,証拠不十分として特定の推奨はなされていない.

World Cancer Research Fund/American institute for Cancer Research. Continuous Update Project Expert Report 2018. Meat, fish and dairy products and the risk of cancer.
https://www.wcrf.org/wp-content/uploads/2021/02/Meat-fish-and-dairy-products.pdf

11) 32件の研究を統合したメタ解析において,全乳製品,牛乳,低脂肪乳,チーズ,および食事由来カルシウムの摂取量増加に比例して,前立腺がんのリスクが5〜9%有意に上昇した.一方で,非乳製品由来やサプリメントによるカルシウムは全体のリスク上昇に関与しておらず,乳製品に含まれる脂肪やカルシウム以外の成分がリスクを高めている可能性が示唆された.

Aune D, et al. Dairy products, calcium, and prostate cancer risk: a systematic review and meta-analysis of cohort studies. Am J Clin Nutr. 2015;101(1):87-117.

12)21カ国の約13.6万人を9.1年間追跡した結果,1日2サービング以上の乳製品摂取群は,摂取なしと比較して死亡や主要な心血管疾患のリスクが16%有意に低下した.特に脳卒中のリスクは34%の低下であった.食品別では牛乳とヨーグルトでリスク低減が確認され,チーズやバターでは有意な関連は見られなかった.

Dehghan D, et al. Association of dairy intake with cardiovascular disease and mortality in 21 countries from five continents (PURE): a prospective cohort study. Lancet. 2018;392(10161):2288-2297.

13)21カ国の大規模コホート研究において,1日2皿以上の乳製品摂取群では,摂取なしと比較してメタボリックシンドローム有病率が24%低下し,高血圧および糖尿病の新規発症リスクもそれぞれ11〜12%有意に低下した.全脂乳製品で顕著なリスク低減が見られた一方,低脂肪乳製品のみではメタボリックシンドロームとの関連は確認されなかった.

Bhavadharini B, et al. Association of dairy consumption with metabolic syndrome, hypertension and diabetes in 147 812 individuals from 21 countries. BMJ Open Diab Res Care 2020;8:e000826.

14)約90万人を対象とした17件のコホート研究のメタ解析により,ヨーグルト摂取量が多い群は少ない群に比べ,全死亡リスクが7%,心血管疾患死亡リスクが11%有意に低下した.1日0.5サービングを超えると,それ以上のリスク低下は見られなかった.がん死亡リスクとの有意な関連は認められなかった.

Tutunchi H, et al. Yogurt consumption and risk of mortality from all causes, CVD and cancer: a comprehensive systematic review and dose–response meta-analysis of cohort studies. Public Health Nutr. 2023;26(6):1196-1209.

15) 47項目の健康アウトカムを対象としたアンブレラレビューの結果,チーズの摂取は全死亡リスクを5%,心血管疾患死亡リスクを7%有意に低下させることが示された.さらに,心血管疾患発症(8%減),冠動脈疾患(8%減),脳卒中(7%減),2型糖尿病(7%減),認知症(19%減)など,多くの疾患リスクとの負の相関が確認された.前立腺がんとは関連が見られなかった.

Zhang M, et al. Cheese consumption and multiple health outcomes:
an umbrella review and updated meta-analysis of prospective studies. Adv Nutr. 2023;14(5):1170-1186.

16) 2018年までに行われた8件のメタ解析(計6~26件のコホート研究を統合)を調べた結果,乳製品の摂取と全死亡リスクとの間に有意な関連は認められなかった.総乳製品,低脂肪・高脂肪,発酵乳,牛乳,チーズ,ヨーグルトのいずれのカテゴリーにおいても,リスク比は0.96~1.03の範囲に収まっており,特定の摂取量による死亡リスクへの影響は見られなかった.

Cavero-Redondo I, et al. Milk and Dairy Product Consumption and Risk of Mortality: An Overview of Systematic Reviews and Meta-Analyses. Adv Nutr. 2019;10(suppl_2):S97-S104.

17) 乳製品の種類(牛乳・ヨーグルト・チーズ),摂取頻度,脂肪含量と心血管疾患(CVD)リスクとの関連を検討することを目的とした.1990~2018年の185か国を対象としたGlobal Dietary Databaseと,CVD負担指標(発症率,有病率,DALYs)を用いた解析に加え,NHANESの個票データ30,341人を用いて個人レベルでの関連を評価した.さらに,因果媒介分析により炎症指標の媒介効果を検証した.その結果,牛乳摂取量が多いほどCVDリスクが低い傾向が全体および個人レベルで認められ,CVD,冠動脈疾患,心筋梗塞のリスク低下と関連していた.また,牛乳を毎日または週1回以上摂取する者は,週1回未満の者に比べCVDリスクが低かった.

Ma D, et al. Dairy consumption and cardiovascular disease risk: a multi-level analysis with inflammatory biomarker mediation. Nutr Metab (Lond). 2025; 22(1):156.

 

参考1) 

・年齢に応じて脂質や乳製品,たんぱく質摂取を工夫する.・乳製品の摂取により,成人や高齢者では循環器病のリスクが低くなる.
・子どもでは,全乳及び乳製品を摂取していると肥満になりにくいと考えられている.
「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」より

国立高度専門医療研究センター6機関の連携による 「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」

 

項目21. 果物を提供している(シロップづけを除く)
要素:果物

1)* 果物の摂取は冠動脈疾患および脳卒中リスクを低減させる可能性が,9,112人を対象とした前向きコホート研究において報告されており, 糖質含有量の少ない果物を適度に摂取することが勧められる.
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」より

Okuda N, et al: Fruit and vegetable intake and mortality from cardiovascular disease in Japan: a 24-year follow-up of the NIPPON DATA80 Study. Eur J Clin Nutr 2015; 69: 482-488.

2)* 果物の摂取は冠動脈疾患および脳卒中リスクを低減させる可能性が40,349人を対象とした前向きコホート研究において報告されており, 糖質含有量の少ない果物を適度に摂取することが勧められる.
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」より

Sauvaget C, et al: Vegetable and fruit intake and stroke mortality in the Hiroshima/Nagasaki Life Span Study. Stroke 2003; 34: 2355-2360.

3)* 果物の摂取は冠動脈疾患および脳卒中リスクを低減させる可能性が,40-79歳の男性25206人,女性34,279人を対象とした前向きコホート研究において報告されており, 糖質含有量の少ない果物を適度に摂取することが勧められる.
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」より

Nagura J, et al: Fruit, vegetable and bean intake and mortality from cardiovascular disease among Japanese men and women: the JACC Study. Br J Nutr 2009; 102: 285-292.

4) 成人における果物摂取と肥満との関連を調べた11件のRCTをまとめたシステマティックレビューでは,果物摂取と長期的な体重増加抑制との関連性が示されている.
「標準的な健診・保健指導プログラム【令和6年度版】」より

Hebden L, et al: Fruit consumption and adiposity status in adults: A systematic review of current evidence. Crit Rev Food Sci Nutr 2017; 57: 2526-2540.

5)* 
・日本の複数のコホート研究より,果物の高摂取に特徴づけられる食事パターンとがん,循環器疾患,糖尿病リスク低下との関連が報告されている.

農林水産省. 「食育」ってどんないいことがあるの?. P11

6)* 成人における果物摂取と総死亡及び死因別死亡との関連を調べた16件の前向きコホート研究をまとめたメタ解析では,果物摂取量の多い人ほど,総死亡及び循環器疾患による死亡リスクが低いことが報告されている.

Wang X, Ouyang Y, Liu J, et al. Fruit and vegetable consumption and mortality from all causes, cardiovascular disease, and cancer: systematic review and dose-response meta-analysis of prospective cohort studies. BMJ. 2014;349:g4490.

7)* 2025年に発表されたGBD 2023解析(204カ国・地域)では,食事関連リスク要因が複数の慢性疾患の死亡・疾病負担に寄与していると推計された.主要な食事関連リスクとしては食塩の高摂取,精製度の低い穀類の摂取不足,果物の摂取不足,野菜の摂取不足などが挙げられており,これらは世界各地域で慢性疾患のリスク増加と関連している.(再掲)

GBD 2023 Disease and Injury and Risk Factor Collaborators. Burden of 375 diseases and injuries, risk-attributable burden of 88 risk factors, and healthy life expectancy in 204 countries and territories, including 660 subnational locations, 1990-2023: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2023. Lancet. 2025; 406(10513):1873-1922.

PMID: 41092926

8)* 世界の疾病負荷研究2019(GBD 2019)のデータを用いて,日本における健康リスク因子別の死亡及び障害調整生存年数(DALYs)の寄与割合を推計した結果,喫煙,代謝系,アルコールに次いで,食塩摂取過剰,精製度の低い穀類の低摂取,果物の摂取不足がリスク要因として挙げられている.(再掲)

Nomura S et al. Toward a third term of Health Japan 21 - implications from the rise in non-communicable disease burden and highly preventable risk factors. Lancet Reg Health West Pac. 2022;21:100377.

9) UK Biobank参加者50万例を対象に食事への食塩追加頻度と早期死亡リスクおよび平均余命の関係を検討した結果,食塩追加頻度の高い者ほど早期死亡リスクが高かったが,果物摂取量の多い群では食塩追加による死亡リスク増加が抑制された.

Ma H, et al. Adding salt to foods and hazard of premature mortality. Eur Heart J. 2022;43:2878-2888.

備考:項目No.18の文献2)の層別解析

10)* ・94,658人の日本人男女を対象とした前向きコホート研究において,果物摂取量の多い者ほど総死亡,心血管死亡,呼吸器疾患死亡のリスクが低いことが報告されている.

Sahashi Y, et al. Inverse Association between Fruit and Vegetable Intake and All-Cause Mortality: Japan Public Health Center-Based Prospective Study. J Nutr. 2022;6:2245-2254.

備考:項目No.19の文献10)と共通

11)* 50~79歳の日本人42,643人を対象とした前向きコホート研究において,男性では,野菜,特にアブラナ科の野菜,女性では野菜,果物,緑色野菜とネギ類野菜の摂取量が多い者ほど認知症リスクが低いことが報告されている.さらに,ビタミンCの摂取量が多い者ほど認知症リスクが低いことが報告されている.

Kishida R et al. Fruit and Vegetable Intake and Risk of Disabling Dementia: Japan Public Health Center Disabling Dementia Study. J Nutr. 2024;154:1842-1852.

12)* 10件の前向きコホート研究を用いたメタ解析において,果物の摂取が1日1サービング増えるごとに2型糖尿病発症リスクが低下することが報告されている.
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」より

Li M, Fan Y, Zhang X, Hou W, Tang Z. Fruit and vegetable intake and risk of type 2 diabetes mellitus: meta-analysis of prospective cohort studies. BMJ Open. 2014;4(11):e005497.

13)約190万人を対象とした26件のコホート研究のメタ解析により,果物・野菜を1日5サービング(果物2,野菜3)の摂取で全死亡および心血管疾患,がん,呼吸器疾患による死亡リスクが最小となる非線形の負の相関が確認された.それ以上の摂取で追加の効果は見られず,また芋類やジュースではリスク低減が認められなかった.

Wang DD, et al. Fruit and Vegetable Intake and Mortality: Results From 2 Prospective Cohort Studies of US Men and Women and a Meta-Analysis of 26 Cohort Studies. Circulation 2021;143:1642-54.

14)8カ国の男女約13.5万人を対象とした多国籍コホート研究において,果物・野菜・豆類の合計摂取量と死亡リスクの関連を調べた結果,1日3〜4サービング(375〜500g相当)の摂取で全死亡リスクが22%減少し,最も低いリスクを示した.それ以上の摂取による更なるリスク低減は見られなかった.果物単体でも,非心血管疾患,心血管疾患,全死亡のリスク低減と関連した.

Miller V, et al. Fruit, vegetable, and legume intake, and cardiovascular disease and deaths in 18 countries (PURE): a prospective cohort study. Lancet. 2017;390(10107):2037-2049.

 

参考1)* 

・野菜,果物は適切に,食物繊維は多く摂取する.
・野菜,果物は適切に,食物繊維は多く摂取することにより,がん,循環器病,糖尿病,妊娠高血圧症候群の予防につながる
・成人では,1日に野菜350g,果物200g,食物繊維17〜21gを目標に摂取することが推奨されている.
「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」より

国立高度専門医療研究センター6機関の連携による 「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」

 

項目22.減塩の調味料を提供している
要素:食塩

1)* 40-59歳の男性531人,女性518人を対象とした横断研究において,食品群別のナトリウム摂取量(不連続4日間の24時間思い出し法より)とナトリウム排泄量(24時間畜尿より)との関連は,調味料(醤油,味噌)とみそ汁において,有意な傾向性の関連が報告されている.

Okuda N, et al: Food sources of dietary sodium in the Japanese adult population: the international study of macro-/micronutrients and blood pressure (INTERMAP). Eur J Nutr 2017; 56: 1269-1280.

2)* 35-67歳の日本人男性187人を対象としたRCTにおいて,低ナトリウム高カリウム調味料(Na: 1175mg, K: 1476mg)及び加工食品を用いた弁当とみそ汁(介入食)と通常の食塩(Na: 2243mg, K: 703mg)を用いた弁当・みそ汁(対照食)を6週間提供し,介入食の血圧への影響を検討した結果,介入食では対照食に比べ有意に血圧が低下していた.なお,低ナトリウム高カリウム調味料を用いた食事は,通常の食塩を用いた食事と同等に介入期間中摂取されていたため,減塩調味料の実現可能性が示唆された.

Umeki Y, et al. Feasibility of Low-Sodium, High-Potassium Processed Foods and Their Effect on Blood Pressure in Free-Living Japanese Men: A Randomized, Double-Blind Controlled Trial. Nutrients. 2021;13:3497.

3) 中国の2万995名を対象としたRCTにおいて,従来の食塩(NaCl 100%)と,代替食塩群(NaCl 75%+KCl 25%)で追跡期間中の脳卒中発症,心血管イベント及び総死亡のリスクを比較した結果,食塩の4分の1をカリウムに代替した代替食塩群においていずれのアウトカムもリスクが低く,両群間の高カリウム発症に有意差は認められなかった.

Neal B, et al. Effect of Salt Substitution on Cardiovascular Events and Death. N Engl J Med. 2021;385:1067-1077.

4) 中国の48箇所の介護施設居住者611人を対象とした無作為化比較試験において,通常の食塩を使用した料理を提供する群と代替塩を使用した料理を提供する群のそれぞれについて,2年後の高血圧発症率を比較した.その結果,通常塩群に比べ,代替塩群では高血圧発症リスクが40%低かった.一方で,低血圧のリスクに差は認められなかった.代替塩はナトリウム62.5%,カリウム25%,残りの12.5%はきのこやレモン,海藻などを用いた香料で構成されている.

Zhang X et al. Effect of a Salt Substitute on Incidence of Hypertension and Hypotension Among Normotensive Adults. J Am Coll Cardiol. 2024;83:711-722.

5)21件のランダム化比較試験(計31,949人)を対象としたメタ解析において,カリウム配合の代替塩使用により,収縮期血圧が平均4.61mmHg低下し,全死亡リスクは11%,心血管疾患死は13%有意に減少した.血圧低下効果は地域や年齢,BMI等に関わらず一貫していた.

Yin X, et al. Effects of salt substitutes on clinical outcomes: a systematic review and meta-analysis. Heart. 2022 Aug 9:heartjnl-2022-321332.

6)16件のランダム化比較試験を対象としたメタ解析において,6か月以上の代替塩使用は主に中国や台湾の心血管疾患高リスク群では,代用塩により全死亡リスクが12%,心血管疾患死亡が17%減少したものの,証拠の確実性は「low」であった.心血管疾患発症や重篤な副作用の有無についてはエビデンスは不確実であった.

Greenwood H, et al. Long-Term Effect of Salt Substitution for Cardiovascular Outcomes:
A Systematic Review and Meta-analysis. Ann Intern Med. 2024;177:643-655.

オプション項目


項目8.スマートミールの主食が週3日以上,精製度の低い穀類である
要素:穀類

1) 45件の前向きコホート研究をまとめたメタ解析において,未精製穀類の摂取が多いほど冠動脈疾患リスクが低いことが報告されている.
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」及び「糖尿病診療ガイドライン2024」より

Aune D, et al: Whole grain consumption and risk of cardiovascular disease, cancer, and all cause and cause specific mortality: systematic review and dose-response meta-analysis of prospective studies. BMJ. 2016; 353: i2716.

2)* 19-68歳の血圧正常な男女944名を対象に,玄米など,糠を除去していない全粒穀物の摂取頻度と3年後の高血圧発症との関連を前向きコホート研究において検討した結果,全粒穀類を時々またはいつも摂取する群は,全く食べない群に比べ,高血圧発症のリスクが低いことが報告されている.

Kashino I. et al.: Prospective Association between Whole Grain Consumption and Hypertension: The Furukawa Nutrition and Health Study. Nutrients. 2020;12:902.

3)* 2025年に発表されたGBD 2023解析(204カ国・地域)では,食事関連リスク要因が複数の慢性疾患の死亡・疾病負担に寄与していると推計された.主要な食事関連リスクとしては食塩の高摂取,精製度の低い穀類の摂取不足,果物の摂取不足,野菜の摂取不足などが挙げられており,これらは世界各地域で慢性疾患のリスク増加と関連している.(再掲)

GBD 2023 Disease and Injury and Risk Factor Collaborators. Burden of 375 diseases and injuries, risk-attributable burden of 88 risk factors, and healthy life expectancy in 204 countries and territories, including 660 subnational locations, 1990-2023: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2023. Lancet. 2025; 406(10513):1873-1922.

PMID: 41092926

4)* 日本人の研究を含む22のRCTのメタ解析により,精製穀類を全粒穀物に置き換えた際,血清総コレステロール値,LDLーコレステロール値,ヘモグロビンA1c値及びCRP値が低下することが報告されている.

Marshall S, et al. The Effect of Replacing Refined Grains with Whole Grains on Cardiovascular Risk Factors: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials with GRADE Clinical Recommendation. J Acad Nutr Diet. 2020;120:1859-1883.e31.

5)* 世界の疾病負荷研究2019(GBD 2019)のデータを用いて,日本における健康リスク因子別の死亡及び障害調整生存年数(DALYs)の寄与割合を推計した結果,喫煙,代謝系,アルコールに次いで,食塩摂取過剰,精製度の低い穀類の低摂取,果物の摂取不足がリスク要因として挙げられている.(再掲)

Nomura S et al. Toward a third term of Health Japan 21 - implications from the rise in non-communicable disease burden and highly preventable risk factors. Lancet Reg Health West Pac. 2022;21:100377.

6)* 全粒穀類46件,精製穀類22件の前向き研究のメタ解析により,精製穀類は明らかな関連は示されなかったものの,全粒穀類の摂取が多い者は冠状動脈性心疾患,循環器疾患の発症及び総死亡のリスクが低いことが報告されている.

Schulze MB, et al: Fiber and magnesium intake and incidence of type 2 diabetes: a prospective study and meta-analysis. Arch Intern Med. 2007; 167: 956-965.

7)* 9件の前向きコホート研究をまとめたメタ解析において,食物繊維が糖尿病発症リスクを低減するという報告が多くみられる.

Schulze MB, et al: Fiber and magnesium intake and incidence of type 2 diabetes: a prospective study and meta-analysis. Arch Intern Med. 2007; 167: 956-965.

8)* 日本人の研究を含む8件の前向きコホート研究をまとめたメタ解析において,玄米の摂取が導尿病発症リスクを低減することが報告されている.
「糖尿病診療ガイドライン2024」より

Yu J, et al. White rice, brown rice and the risk of type 2 diabetes: a systematic review and meta-analysis. BMJ Open. 2022;12(9):e065426

9)* 日本の成人を対象に,白米の30%および80%を玄米に置き換えた際の影響を予測した結果,10年間で2型糖尿病の新規発症を1.3〜3.4%抑制し,3,130万〜8,050万ドルの医療費削減が可能と推定された.

Ikeda N, et al: Health and Economic Impacts of Increased Brown Rice Consumption on Type 2 Diabetes in Japan: A Simulation Study, 2019-2029. Nutrients. 2025 Jan 31;17(3):532.

 
項目10.スマートミールの主食量を,選択または調整することができることがメニュー選択時にわかる
要素:主食(炭水化物)

1) 肥満者男女148名において,低糖質食と低脂質食による1年間の介入を行ったところ,エネルギー摂取量に群間差はなかったものの,低糖質食群では低脂質食群に比べて体重減少量が大きく,内臓脂肪の減少率も高いことが報告されている.
「肥満症診療ガイドライン2016」より

Bazzano LA, et al: Effects of low-carbohydrate and low-fat diets: a randomized trial. Ann Intern Med. 2014; 161: 309-318.

2) 45~64歳の米国人男女15,428人を25年間追跡し,炭水化物摂取量が50~55%エネルギーであった集団で最も低い総死亡率と最も長い平均期待余命が観察された.
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書より

Seidelmann SB, et al. Dietary carbohydrate intake and mortality: a prospective cohort study and meta-analysis. Lancet Public Health. 2018;3(9):e419-e428.

 
項目11.スマートミールの主菜の主材料として,週3日以上,魚を提供している
要素:魚

1)* 日本を含む4か国の栄養と血圧に関する国際共同研究(INTERMAP)に参加した40-59歳男女を対象とした横断研究において,魚由来のn3多価不飽和脂肪酸の摂取量が多い者は血圧が低い傾向にあることが報告されている.

Ueshima H, et al: Food omega-3 fatty acid intake of individuals (total, linolenic acid, long-chain)and their blood pressure: INTERMAP study. Hypertension 2007; 50: 313-319.

2)* 41,578人の40-59歳男女を対象とした日本の前向きコホート研究では,魚摂取量の最も少ない群に比べてその他の群ではいずれも心筋梗塞の発症リスクが下がることが報告されている.
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」より

Iso H, et al: Intake of fish and n3 fatty acids and risk of coronary heart disease among Japanese: the Japan Public Health Center-Based (JPHC) Study Cohort I. Circulation 2006; 113: 195-202.

3)* 57,972人の男女を対象とした日本の前向きコホート研究では,魚摂取の多い群で心血管疾患死亡率が少ないことが報告されている.
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」より

Yamagishi K, et al: Fish, omega-3 polyunsaturated fatty acids, and mortality from cardiovascular diseases in a nationwide community-based cohort of Japanese men and women the JACC (Japan Collaborative Cohort Study for Evaluation of Cancer Risk) Study. J Am Coll Cardiol 2008; 52: 988-996.

4)* 9,190人の日本人男女を対象とした日本の前向きコホート研究では,魚摂取の多い群で心血管疾患死亡率が少ないことが報告されている.
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」より

Miyagawa N, et al: Long-chain n-3 polyunsaturated fatty acids intake and cardiovascular diseasemortality risk in Japanese: a 24-year follow-up of NIPPON DATA80.Atherosclerosis 2014; 232: 384-389.

5) 53,163人を対象としたデンマークの前向きコホート研究において,赤肉を魚に置換することで,糖尿病の発症リスクが低下した.

Ibsen, D.B., et al.: Substitution of red meat with poultry or fish and risk of type 2 diabetes: a Danish cohort study. Eur J Nutr 2019;58(7):2705-2712.

6) 57,053人を対象としたデンマークの前向きコホート研究において,赤肉を魚に置換することで,大動脈アテローム性動脈硬化症の発症リスクが低下した.

Venø SK, et al.: Substitution of Fish for Red Meat or Poultry and Risk
of Ischemic Stroke. Nutrients. 2018; 10: 1648.

7) 55,171人を対象としたデンマークの前向きコホート研究において,赤肉を魚に置換することで,心筋梗塞の発症リスクが低下した.

Würtz AML, et al.: Substitutions of red meat, poultry and fish and risk of myocardial infarction. Br J Nutr. 2016; 115: 1571–1578.

8)* 11の前向き研究に基づくシステマティックレビューにおいて,アジアでは直線的な魚摂取増加により心筋梗塞リスクが低下した.

Jayedi A. et al. Fish consumption and risk of myocardial infarction: a systematic review and dose-response meta-analysis suggests a regional difference. Nutr Res. 2019;62:1-12.

9)* 日本人を対象とした前向きコホート研究を対象としたナラティブレビューにおいて,魚及び長鎖n-3系多価不飽和脂肪酸の摂取の多い群で非感染性疾患,特に心血管疾患リスクが低いことが報告されている.

Umesawa M, et al. Intake of fish and long-chain n-3 polyunsaturated fatty acids and risk of diseases in a Japanese population: a narrative review. Eur J Clin Nutr. 2021 ;75:902-920.

10)* ノルウェーの65歳以上の高齢者4,350人を対象とした前向き研究において,週4日以上の魚の摂取により8年後のプレフレイル発症リスクが低下した.さらに,21年間継続して魚を高頻度に摂取することで,長期間のプレフレイル発症リスクを低減した.

Konglevoll DM, et al. Fish intake and pre-frailty in Norwegian older adults - a prospective cohort study: the Tromsø Study 1994-2016. BMC Geriatr. 20235;23:411.

11)* 12件の前向きコホート研究をまとめたメタ解析において,魚の摂取量が最も多い群において総死亡リスクが低く,非線形的な関連がみられた.

Zhao LG, et al. Fish consumption and all-cause mortality: a meta-analysis of cohort studies. Eur J Clin Nutr. 2016;70:155-61.

12) 英国のEPIC-Oxford studyの参加者約4.8万人を対象に平均18年間追跡し,meat eater (肉を食べる),fish eater(魚を食べるが肉は食べない),ベジタリアンについて検討した結果,fish eaterはmeat eaterと比較して,虚血性心疾患のリスクが13%有意に低いことが示された.一方で,脳卒中のリスクについては,fish eaterとmeat eaterに有意な差は確認されなかった.

Tong TYN, et al. Risks of ischaemic heart disease and stroke in meat eaters, fish eaters, and vegetarians over 18 years of follow-up: results from the prospective EPIC-Oxford study. BMJ 2019;366:l4897

13) 魚介類摂取と慢性疾患リスクとの関連について,前向きコホート研究に基づくメタ解析を体系的にレビューした.2019年10月までに公表された観察研究のメタ解析34件(298件のコホート研究,40アウトカム)を対象とした.中等度のエビデンスにより,魚介類摂取量が100g/日増加するごとに,全死亡,心血管死亡,冠動脈疾患,心筋梗塞,脳卒中,心不全,うつ病,肝がんのリスク低下が示された.一方,多くのがんでは有意な関連は認められず,エビデンスの質は低〜非常に低であった.

Jayedi A, et al. Fish Consumption and the Risk of Chronic Disease: An Umbrella Review of Meta-Analyses of Prospective Cohort Studies. Adv Nutr. 2020; 1;11(5):1123-1133.

14) 魚介類摂取と全死亡および心血管疾患死亡(CVD)との関連における地域差を検討することを目的とした.2016年9月までにPubMedおよびScopusで検索された前向きコホート研究を対象に,用量反応メタ解析を実施した.14件の前向きコホート研究(参加者91万人超,死亡例約7.5万人)が含まれ,魚介類摂取量が20g/日増加するごとに,CVD死亡リスクは有意に低下し,全死亡リスクもわずかな低下が示された.サブグループ解析では,有意な関連はアジアの研究に限定され,西洋諸国では両アウトカムともに約20g/日を底とするU字型の関連が示唆された.一方,アジアでは線形の関連が認められた.

Jayedi A, et al. Fish consumption and risk of all-cause and cardiovascular mortality: a dose-response meta-analysis of prospective observational studies. Public Health Nutr. 2018; 21(7):1297-1306.

15)* 1980年に実施されたNIPPON DATA80を用い,30歳以上の男女8,879人を19年間追跡し,魚介類摂取頻度と全死亡および死因別死亡との関連を解析した.その結果,追跡期間中に1,745人が死亡したが,魚介類を「週1~2回摂取する者」と比べて「1日2回以上摂取する者」における全死亡,脳卒中,脳出血,脳梗塞,冠動脈疾患死亡のリスクに有意な差は認められなかった.本研究では,魚介類摂取と死亡リスク低下との関連は支持されなかったが,多くの対象者が既に先行研究で有益とされる摂取量の閾値を超えていた可能性によるものと考えられた.

Nakamura Y, et al. Association between fish consumption and all-cause and cause-specific mortality in Japan: NIPPON DATA80, 1980-99. Am J Med. 2005;118(3):239-45.

 

参考1)* ・魚を多く摂取する.
・魚を多く摂取することにより,循環器病予防につながる.
・妊婦は魚介類を多く摂ることにより,妊娠高血圧症候群,早産予防につながる.
・妊婦では極端に偏った魚介類の摂取による水銀摂取に一定の注意が必要である.
「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」より

国立高度専門医療研究センター6機関の連携による 「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」

 
項目12. スマートミールの主菜の主材料として,週3日以上,大豆・大豆製品を提供している
要素:大豆・大豆製品

1)* 40-59歳の男女40,462人を対象とした日本のコホート研究では,大豆の摂取頻度が高いと女性で脳梗塞発症リスクと心筋梗塞のリスクが低いことが報告されている.
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版」より

Kokubo Y, et al: Association of dietary intake of soy, beans, and isoflavones with risk of cerebral and myocardial infarctions in Japanese populations: the Japan Public Health Center-based (JPHC) study cohort I. Circulation 2007; 116: 2553-2562.

2)* 40-69歳の男性926人,女性3,239人を対象とした日本のコホート研究において,みそや納豆などの発酵性大豆製品の摂取量が多いと高血圧発症リスクが低いことが報告されている.

Nozue M, et al.; Fermented Soy Product Intake Is Inversely Associated with the Development of High Blood Pressure: The Japan Public Health Center-Based Prospective Study. J Nutr. 2017; 147:1749-1756.

3)* 日本を中心とした7件の前向き研究に基づくシステマティックレビューにおいて,大豆摂取と総死亡及び循環器疾患・がんによる死亡との統計学的に有意な関連はみられなかったものの,発酵性大豆製品の摂取量と循環器疾患リスク低下との関連が報告されている.

Namazi N. et al. Soy product consumption and the risk of all-cause, cardiovascular and cancer mortality: a systematic review and meta-analysis of cohort studies. Food Funct. 2018;9:2576-2588.

4)* 92,915人の45-74歳男女を対象とした日本の前向きコホート研究において,発酵性大豆食品,特に納豆の摂取が多いと総死亡リスク及び心血管死亡リスクが低いことが報告されている.

Katagiri R. et al. Association of soy and fermented soy product intake with total and cause specific mortality: prospective cohort study. BMJ. 2020;368:m34.

備考:同コホート研究からの報告(JPHC study)

5) 40-69歳の韓国人女性4713人を対象とした前向きコホート研究において,閉経前女性において,大豆製品摂取量及び大豆イソフラボン摂取量が多いと循環器疾患リスクが低いことが報告されている.

Im J, Park K. Association between Soy Food and Dietary Soy Isoflavone Intake and the Risk of Cardiovascular Disease in Women: A Prospective Cohort Study in Korea. Nutrients. 2021; 22;13:1407.

6)* 日本人を含む81の前向き研究に基づくシステマティックレビュー・メタ解析において,大豆の高摂取ががん発症リスク低下と関連し,25g大豆摂取量が増えるごとに4%リスクが低下していた.大豆イソフラボンもがん発症リスク低下との関連がみられたが,大豆たんぱく質は関連がみられなかった.しかしながら,いずれもがん死亡との関連は示されなかった.

Fan Y, et al. Intake of Soy, Soy Isoflavones and Soy Protein and Risk of Cancer Incidence and Mortality. Front Nutr. 2022;9:847421.

7)* 1980年国民栄養調査に参加した9,244名の日本人において,男性及び65歳以上の女性では豆腐摂取と脳卒中死亡との明らかな関連は示されなかったが,65歳未満の女性において豆腐摂取量が多いほど脳卒中死亡リスクが低いことが報告されている.
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2022年版」より

Nguyen HN, et al. Dietary tofu intake and long-term risk of death from stroke in a general population. Clin Nutr. 2018;37(1):182-188.

8)* 35歳以上の男性13,355人,女性15,724人を対象とした日本のコホート研究において,納豆摂取量が多いものほど心血管疾患死亡リスクが低いことが報告されている.
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2022年版」より

Nagata C, et al. Dietary soy and natto intake and cardiovascular disease mortality in Japanese adults: the Takayama study. Am J Clin Nutr. 2017;105(2):426-431.

9)43件のRCTに基づくメタ解析において,大豆たんぱく質(中央値25g/6週間)により,LDLコレステロール値及び総コレステロール値が低下することが報告されている.
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2022年版」より

Blanco Mejia S, et al. A Meta-Analysis of 46 Studies Identified by the FDA Demonstrates that Soy Protein Decreases Circulating LDL and Total Cholesterol Concentrations in Adults. J Nutr. 2019;149(6):968-981.

10) 18件の前向きコホート研究のメタアナリシス(計61万超の女性を対象)において,大豆摂取量が多いほど乳がん罹患リスクが有意に低下することが示された(RR = 0.89, 95% CI: 0.79–0.99).特にアジアで顕著(RR = 0.76, 95% CI: 0.65–0.86)で,欧米諸国では有意な関連はみられなかった(RR = 0.97, 95% CI: 0.87–1.06).

Dong JY, Qin LQ. Soy isoflavones consumption and risk of breast cancer incidence or recurrence: a meta-analysis of prospective studies. Breast Cancer Res Treat 2011;125:315–323.

11) 15件の前向きコホート研究のメタアナリシスにより,大豆食品の摂取と前立腺がんリスクの関連を評価した.大豆食品摂取量が多い群では,少ない群に比べリスクが有意に低下(RR = 0.74, 95% CI: 0.63 - 0.89)することが確認された.食品別では,非発酵大豆食品で有意な低下(RR = 0.70, 95% CI: 0.56 - 0.88)が見られたが,発酵大豆食品では関連が認められなかった(RR = 1.02, 95% CI: 0.73 – 1.42).

Yan L , Spitznagel E L. Soy consumption and prostate cancer risk in men: a revisit of a meta-analysis. Am J Clin Nutr 2009;89:1155-1163.

12) JPHC研究に参加した45~74歳の日本人男女41,447名を対象に約9年間追跡した結果,男女とも,総大豆製品やイソフラボンと認知症リスクとの関連は確認されなかった.個別の食品では,男性では関連は見られませんでしたが,女性では納豆摂取が多いグループで認知症リスクが低下する傾向があった.

Murai U, et al. Soy product intake and risk of incident disabling dementia: the JPHC Disabling Dementia Study. Eur J Nutr. 2022 Dec;61(8):4045-4057.

 

参考1) ・大豆製品を多く摂取する.・大豆製品を多く摂ることにより,脂質異常症の改善,循環器病予防につながる.発酵性大豆食品を多く摂取することにより,早死,血圧高値やがんの予防につながる.
・大豆製品を多く摂ることにより,妊娠中の脂質異常症やインスリン抵抗性,うつ症状の改善につながる可能性がある.子どもが大豆製品を多く摂ることにより,成人以降の乳がん予防につながる可能性が示されてる.
・大豆イソフラボンのサプリメント摂取には注意が必要である.
「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」より

国立高度専門医療研究センター6機関の連携による 「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」

 
項目13. スマートミールに,栄養成分表示(エネルギー,たんぱく質,脂質,炭水化物,食塩相当量)を示している
要素:栄養成分表示

1)* 栄養表示利用行動と健康・栄養状態との関連についての海外文献9件,国内文献9件をまとめた系統的レビューにおいて,健康・栄養状態に問題のある者の方が栄養表示をよく利用していることが報告されている.

西尾素子, 他: 栄養表示利用行動と健康・栄養状態との関連についての系統的レビュー. 日健教誌. 2015; 23: 109-122.

2)* 20-69歳男女742人を対象とした横断研究において,健康な成人では,食品ラベルのナトリウム表示をみて食品を購入すると回答した女性は,他の女性よりも尿中ナトリウム排泄量が低い傾向にあることが報告されている.

Uechi K, et al: Simple questions in salt intake behavior assessment: comparison with urinary sodium excretion in Japanese adults.Asia Pac J Clin Nutr 2017; 26: 769-780.

3)* 683人の一般の成人を対象としたアンケート調査結果を用いた横断研究において,食品ラベルのナトリウム量を正しく食塩量に換算できる人は約8人に1人であったことから,食品ラベルへの食塩相当量の表示が必要であると示唆された.

Okuda N, et al.; Understanding of sodium content labeled on food packages by Japanese people. Hypertens Res. 2014; 37: 467-71.

 
項目14. スマートミールの栄養成分表示に,飽和脂肪酸の量を示している
要素:飽和脂肪酸
 

1) 飽和脂肪酸の摂取量は,糖尿病の発症リスクになり,多価不飽和脂肪酸がこれを低減するとしており,動物性脂質(飽和脂肪酸)の相対的な増加が,糖尿病発症リスクになるものと考えられる.「糖尿病診療ガイドライン(2019)」より

Wang L, et al: Plasma fatty acid composition and incidence of diabetes in middle-aged adults: the Atherosclerosis Risk in Communities (ARIC) Study. Am J Clin Nutr 2003; 78: 91-98.

2) 20-69歳男女742人を対象とした横断研究において,健康な成人では,食品ラベルのナトリウム表示をみて食品を購入すると回答した女性は,他の女性よりも尿中ナトリウム排泄量が低い傾向にあることが報告されている.

Hodge AM, et al: Plasma phospholipid and dietary fatty acids as predictors of type 2 diabetes:interpreting the role of linoleic acid. Am J Clin Nutr 2007; 86: 189-197.

3)  飽和脂肪酸の摂取量は,糖尿病の発症リスクになり,多価不飽和脂肪酸がこれを低減するとしており,動物性脂質(飽和脂肪酸)の相対的な増加が,糖尿病発症リスクになるものと考えられる.

Hodge AM, et al: Plasma phospholipid and dietary fatty acids as predictors of type 2 diabetes:interpreting the role of linoleic acid. Am J Clin Nutr 2007; 86: 189-197.

4)  飽和脂肪酸の摂取量は,糖尿病の発症リスクになり,多価不飽和脂肪酸がこれを低減するとしており,動物性脂質(飽和脂肪酸)の相対的な増加が,糖尿病発症リスクになるものと考えられる.

Guasch-Ferré M, et al. Total and subtypes of dietary fat intake and risk of type 2 diabetes mellitus in the Prevención con Dieta Mediterránea (PREDIMED) study. Am J Clin Nutr. 2017;105:723-735.

5) 15件のRCTをまとめたシステマティックレビュー(コクラン)では,適正な総エネルギー摂取量のもので飽和脂肪酸を減らすこと,または飽和脂肪酸を多価不飽和脂肪酸に置換することは血清脂質の改善に有効で,冠動脈疾患発症の予防にも有効であることが報告されている.
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」より

Hooper L, et al: Reduction in saturated fat intake for cardiovascular disease. Cochrane Database Syst Rev 2015; 10: CD011737.

6)* 日本人の食事摂取基準(2020年版) 目標量 7%エネルギー―以下.

厚生労働省.日本人の食事摂取基準(2020年版)

7) 2010年以降の研究を対象にアップデートしたシステマティックレビューによると,飽和脂肪酸を多価不飽和脂肪酸や一価不飽和脂肪酸,もしくは全粒穀類に置き換えることで,冠動脈疾患発症・死亡リスクが低下することが報告されている.特に,多価不飽和脂肪酸に置き換えた場合に顕著である.

Clifton P.M. et al. A systematic review of the effect of dietary saturated and polyunsaturated fat on heart disease. Nutr Metab Cardiovasc Dis. 2017;27:1060-1080.

8) 日本の研究を含む14件の前向きコホート研究をまとめたメタ解析において,飽和脂肪酸の摂取量が多いほど脳卒中リスクが低下し,10g/日摂取量が増加するほどリスクが6%低下することが報告されている.

Kang ZQ, et al. Dietary saturated fat intake and risk of stroke: Systematic review and dose-response meta-analysis of prospective cohort studies. Nutr Metab Cardiovasc Dis. 2020;10:179-189.

9) 13件の前向きコホート研究をまとめたメタ解析において,飽和脂肪酸の摂取と2型糖尿病発症リスクとの関連は明らかでなかった.
「糖尿病診療ガイドライン2024」より

Gaeini Z, et al. Saturated Fatty Acid Intake and Risk of Type 2 Diabetes: An Updated Systematic Review and Dose-Response Meta-Analysis of Cohort Studies. Adv Nutr. 2022;13(6):2125-2135.

10) 10件の前向きコホート研究をまとめたメタ解析において,2型糖尿病発症に対する奇数鎖飽和脂肪酸の保護的効果と,偶数鎖飽和脂肪酸の炭素巣によって違いがあるとの報告がある.
「糖尿病診療ガイドライン2024」より

Huang L, et al. Circulating Saturated Fatty Acids and Incident Type 2 Diabetes: A Systematic Review and Meta-Analysis. Nutrients. 2019;11(5):998. doi: 10.3390/nu11050998.

11) 3~12件のコホート研究をまとめたメタ解析において,飽和脂肪酸摂取量と全死亡,心血管疾患死亡,冠動脈疾患死亡,虚血性脳卒中死亡のいずれとも有意な関連は確認されなかった.

de Souza RJ, et al. Intake of saturated and trans unsaturated fatty acids and risk of all cause mortality, cardiovascular disease, and type 2 diabetes: systematic review and meta-analysis of observational studies. BMJ. 2015;351:h3978.

12) 11件のコホート研究(計344,696人)を統合したプール解析において,飽和脂肪酸を5%E多価不飽和脂肪酸に置き換えた場合,冠動脈疾患発症リスクが13%,死亡リスクが26%有意に低下した.一方で,炭水化物に置き換えた場合は発症リスクが7%有意に上昇し,一価不飽和脂肪酸への置換では有意な関連は認められなかった.

Jakobsen MU, et al. Major types of dietary fat and risk of coronary heart disease: a pooled analysis of 11 cohort studies. Am J Clin Nutr 2009; 89: 1425-32

13) 8件のランダム化比較試験(計13,614人)を対象としたメタ解析において,飽和脂肪酸を多価不飽和脂肪酸に置き換えた結果,冠動脈疾患リスクが19%有意に低下した.5%EをPUFAへ置換するごとに冠動脈疾患リスクは10%減少し,試験期間が長いほどその効果は大きかった.

Mozaffarian D, et al. Effects on coronary heart disease of increasing polyunsaturated fat in place of saturated fat: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. PLoS Med. 2010;7(3):e1000252.

14) 5件のランダム化比較試験(計10,808人)のメタ解析と,未公開データを含むミネソタ冠動脈実験(9,423人)の再解析において,飽和脂肪酸をリノール酸に置換した結果,血清コレステロール値は低下したが,冠動脈疾患死や全死亡のリスク低減は確認されなかった.

Ramsden CE, et al. Re-evaluation of the traditional diet-heart hypothesis: analysis of recovered data from Minnesota Coronary Experiment (1968-73). BMJ. 2016; 353: i1246.

15) 59件のシステマティックレビューを対象としたスコーピングレビューにおいて,飽和脂肪酸の摂取量自体は慢性疾患リスクと関連がなかった.飽和脂肪酸を多価不飽和脂肪酸や一価不飽和脂肪酸に置き換えたRCTのシステマティックレビューを対象としたスコーピングレビューではことで血中脂質や血糖制御が改善することが確認された.

Schwingshackl L, et al. Total Dietary Fat Intake, Fat Quality, and Health Outcomes: A Scoping Review of Systematic Reviews of Prospective Studies. Ann Nutr Metab. 2021;77(1):4-15.

16) 複数のメタ解析を基にしたレビューにおいて,飽和脂肪酸の摂取制限が心血管疾患や全死亡リスクを下げるとする有益な証拠は確認されず,むしろ脳卒中に対しては予防的に働くことが示された.SFAはLDLコレステロールを上昇させるが,これは心血管疾患リスクとの関連が低い大型粒子である.無加工肉や全脂乳製品,ダークチョコレートなど,複雑な構造を持つSFA含有食品はCVDリスクを高めないため,一律の摂取制限を支持する根拠は不十分である.

Astrup A, et al. Saturated Fats and Health: A Reassessment and Proposal for Food-Based Recommendations: JACC State-of-the-Art Review. J Am Coll Cardiol. 2020;76(7):844-857.

17) EAT-Lancet委員会では,プラネタリーヘルスダイエットの基準として「植物性食品を主体とし,動物性食品の摂取は適度にとどめ,添加糖類・飽和脂肪酸・塩分の摂取を最小限に抑えた,バランスの取れた食事パターン」を提唱している.

Rockström J, et al. The EAT-Lancet Commission on healthy, sustainable, and just food systems. Lancet. 2025;406(10512):1625-1700.

 

参考1)* 
・年齢に応じて脂質や乳製品,たんぱく質摂取を工夫する.
・脂質(飽和脂肪酸)を摂りすぎないことは動脈硬化・虚血性心疾患の予防に有効であることが期待される.一方で,飽和脂肪酸の摂取を推奨する介入研究からのエビデンスはないが,飽和脂肪酸が不足すると脳卒中リスクが増加する可能性は否定できない.高齢者では低栄養予防の観点から適度な脂質摂取が好ましい場合がある.
「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」より

国立高度専門医療研究センター6機関の連携による 「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」

 
項目15. スマートミールが1日2種以上ある
要素:商品の品ぞろえ

 

1)* 2019年4月~8月,東京都内の病院内コンビニエンスストア1店舗において,複数のナッジを組み合わせた取り組みを実施し,介入前と比べた売り上げの変化を把握した.研究デザインは,前後比較デザインとした. 商品の品揃えとして,「ヘルシーセット」を曜日ごとに内容を変えて販売,飲料コーナーの加糖飲料の販売割合を50%未満に,カップ麺コーナーでは1食4g以下の商品を増やした.その他,商品の配置,情報の提供,価格の配慮(インセンティブ)を実施した.その結果,介入期間中の売上(前年同月比)は,総売上,サラダ類,無糖飲料,弁当類,パスタ類が有意に増加し,加糖飲料,おにぎり,パン類が有意に減少した.カップ麺類の食塩含有量別販売構成比は,介入開始後,含有量の少ない商品割合が有意に増加した.

川畑 輝子, 他. 医療施設内コンビニエンスストアにおけるナッジを活用した食環境整備の試み. フードシステム研究 2021; 27(4): 226-231.

 

要素:デフォルトオプション
2) 2020年7月,米国在住の成人377名を3つの異なるシナリオに無作為に割り付け,実験を行った.シナリオは, ファストフードのドライブスルーでコンボミールを注文する設定で,(1)顧客が選択したコンボ(選択コンボ),(2)従来の高カロリーデフォルト商品を含むコンボ(従来のコンボ),(3)低カロリー最適デフォルト商品を含むコンボ(最適コンボ食)のいずれかに割り当てた.その結果,選択コンボ食と比較して,最適コンボ食では顧客が注文するエネルギーが減少した(-337kcal,標準誤差=19,P<0.001)が,従来コンボ食では増加した(+132kcal,標準誤差=20,P<0.001).

Diaz-Beltran M, et al. Fast-food optimal defaults reduce calories ordered, as well as dietary autonomy: A scenario-based experiment. J Acad Nutr Diet 2023; 123(1): 65-76.

 
項目16. スマートミールを選択するためのインセンティブがある
要素:値引き

 

1)* 東京都足立区が同区内26のを1週間実施した.研究デザインは,単群のクロスオーバー試験とした.野菜増量メニューの注文割合は,キャンペーン前の1週間(対照期間)では6.8%,キャンペーン期間中は9.0%であった.気温や天候といった要因の影響を除いても,対照期間に比べてキャンペーン期間中の1日当たりの野菜増量メニューの注文者の割合は1.50倍,1日当たりの飲食店の売り上げは50円引きの負担を差し引いても1.77倍になった.普段の外食時の平均昼食代が最も少ないグループにおいて,キャンペーン期間の野菜増量メニューの注文者割合が増加した.

Nagatomo W., et al. Effectiveness of a low-value financial-incentive program for increasing vegetable-rich restaurant meal selection and reducing socioeconomic inequality: a cluster crossover trial. Int J Behav Nutr Phys Act 2019; 16: 81.

2)* 2019年4月~8月,東京都内の病院内コンビニエンスストア1店舗において,複数のナッジを組み合わせた取り組みを実施し,介入前と比べた売り上げの変化を把握した.インセンティブとして,「ヘルシーセット」を職員限定価格で販売した.その他,品揃え,商品の配置,情報の提供を実施した.その結果,介入期間中の売上(前年同月比)は,総売上,サラダ類,無糖飲料,弁当類,パスタ類が有意に増加し,加糖飲料,おにぎり,パン類が有意に減少した.カップ麺類の食塩含有量別販売構成比は,介入開始後,含有量の少ない商品割合が有意に増加した.

川畑 輝子, 他. 医療施設内コンビニエンスストアにおけるナッジを活用した食環境整備の試み. フードシステム研究 2021; 27(4): 226-231.

3) 2014年4月までにPubmedなど複数のデータベースに登録された論文を対象に,様々なタイプの店頭介入(Point-of-Purchase:POS)の効果について検討されたシステマティックレビューによると,最終的に該当した32件中,金銭的インセンティブ単独の介入の効果を検証した論文は4件であった.その結果,適切な金銭的インセンティブが顧客に提供された場合,短期介入ではあるが,より健康的な食品の購入および/または摂取を増加させるのに効果的であることが示唆された.ただし,長期的な介入研究や主要アウトカムに影響を及ぼす可能性のある媒介因子についての研究が不十分であった.

Liberato, S.C., et al. Bailie, R. & Brimblecombe, J. Nutrition interventions at point-of-sale to encourage healthier food purchasing: a systematic review. BMC Public Health 2014; 14: 919.

4) 2020年4月に6つのデータベースを用いたシステマティックレビューを実施した.36件の研究が質的統合に含まれ,30件の研究がメタアナリシスに含まれ,72の店舗内介入の組み合わせに相当した.店舗内介入の効果量に関する分析の結果,価格設定,および価格設定とプロモーションやプロンプティングの組み合わせが,購買行動に効果的に影響を与えたことが示された.介入は,健康的な商品と不健康な商品の両方の売上に有意な影響を与え,果物と野菜,健康的な飲料,健康的な商品の総量の売上を有意に増加させた.しかし,全体的なエビデンスの質が比較的低いこと,介入の種類によっては研究数や観察数が少ないことが課題である.

Slapø H, et al. Efficiency of In-Store Interventions to Impact Customers to Purchase Healthier Food and Beverage Products in Real-Life Grocery Stores: A Systematic Review and Meta-Analysis. Foods. 2021; 10(5): 922.

5) 本研究は,健康的な食品(果物や野菜を含む)の価格引き下げによる食品の購入および消費への影響を評価することを目的に,システマティックレビューとメタアナリシスを実施した.電子データベース(MEDLINE,EconLit,Embase,Cinahl,Cochrane Library,Web of Science)を用いて2013年1月1日から2021年12月20日までに発表された関連研究を言語の制限なく検索した.また,参考文献のハンドサーチを行った.最終的に,対象となった研究は34件で,そのうち15件は高所得国のスーパーマーケットで実施され,8件は職場の食堂で実施された.また,21件は社会経済的に不利なコミュニティを対象としていた.14件の研究のメタアナリシスによると,価格が20%引き下げられると,果物と野菜の購入量は16.62%増加(95% CI 12.32~20.91)した.ただし,6カ月以上にわたって価格の引き下げを実施した研究はわずかであった.

Huangfu P, et al. Impact of price reductions, subsidies, or financial incentives on healthy food purchases and consumption: a systematic review and meta-analysis. Lancet Planet Health 2024; 8(3): e197 - e212.

 
項目17.メニューに漬物や汁物をつけないことができ.メニュー選択時にわかるように表示している
 要素:食塩

 

1)* 健康な20-69歳男性196人,女性196人を対象とした横断研究において,総ナトリウム摂取量(不連続4日間の食事記録より)に対し寄与率の高い食品群は,1番目が調味料(男性61.7%,女性62.9%),2番目が魚介類(干物/缶詰含む)(男性6.7%,女性6.6%),3番目は男性で麵類(4.9%),女性でパン類(5.0%)であった.

Asakura K, et al: Sodium sources in the Japanese diet: difference between generations and sexes. Public Health Nutr 2016; 19: 2011-2023.

2)* 国民健康・栄養調査結果に基づき,食塩摂取源となっている食品のランキングをした結果,カップ麺,インスタントラーメンに次いで,梅干し,漬物がランクインした.

医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 栄養疫学・食育研究部. 日本人はどんな食品から食塩をとっているか?―国民健康・栄養調査での摂取実態の解析から―. (Webページ)

3)* JPHC-NEXT妥当性研究に参加した35〜80歳の男女253名を対象とした4季節,計12日間の秤量食事調査により評価した結果,年間5回の24時間尿中Na排泄量への寄与は,食品別では醤油等の調味料に続き味噌汁(13.3%)の寄与が最大であった.回帰分析の結果,漬物や魚介類,味噌汁が尿中Na排出量と強く関連していた.

Ogawa F, et al: Dietary sodium sources according to four 3-d weighed food records and their association with multiple 24-h urinary excretions among middle-aged and elderly Japanese participants in rural areas. Br J Nutr. 2023 Jun 14;129(11):1955-1963.

 
項目18. ソースやマヨネーズなとの調味料を別添えで提供している
要素:食塩

 

1)* 40-59歳の日本人4680名を対象とした横断研究において,総ナトリウム摂取量(不連続4日間の24時間思い出し法より)に対し寄与率の高い食品群は,1番目が調味料(醤油20%,食塩9%,ソース等その他の調味料4%),2番目が味噌汁10%であった.

Anderson CA, et al: Dietary sources of sodium in China, Japan, the United Kingdom, and the United States, women and men aged 40 to 59 years: the INTERMAP study. J Am Diet Assoc 2010; 110: 736-45.

2) UK Biobank参加者50万例を対象に食事への食塩追加頻度と早期死亡リスクおよび平均余命の関係を前向きコホート研究において検討した結果,食塩追加頻度の高い者ほど早期死亡リスクが高く,平均余命が短かった.

Ma H, et al. Adding salt to foods and hazard of premature mortality. Eur Heart J. 2022;43:2878-2888.

 

項目19. 野菜70g以上のメニューを提供している(サラダバーを含む)
要素:野菜

 

1)* 9112人を対象とした前向きコホート研究において,野菜の摂取は冠動脈疾患および脳卒中リスクを低減させる可能性が報告されている.
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」より

Okuda N, et al: Fruit and vegetable intake and mortality from cardiovascular disease in Japan: a 24-year follow-up of the NIPPON DATA80 Study. Eur J Clin Nutr 2015; 69: 482-488.

2)* 40,349人の男女を対象とした前向きコホート研究において,緑黄色野菜の摂取は冠動脈疾患および脳卒中リスクを低減させる可能性が報告されている.
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」より

Sauvaget C, et al: Vegetable and fruit intake and stroke mortality in the Hiroshima/Nagasaki Life Span Study. Stroke 2003; 34: 2355-2360.

3)* 食事パターンと心血管疾患死亡リスクとの関連について,40-79歳の一般住民男性26,598人,女性37,439人を対象とした大規模前向きコホート研究における検討を行った結果,3つの主要な食事パターン(野菜型,動物性食品型,乳製品型)が見出され,「野菜型」および「乳製品型」の食事パターンに近いことがそれぞれ心血管疾患死亡リスクの低下と関連していることが報告されている.

Maruyama K, et al: Dietary patterns and risk of cardiovascular deaths among middle-aged Japanese: JACC Study. Nutr Metab Cardiovasc Dis 2013; 23: 519-527.

4)* 日本の複数のコホート研究より,野菜の高摂取に特徴づけられる食事パターンとがん,循環器疾患,糖尿病リスク低下との関連が報告されている.

農林水産省. 「食育」ってどんないいことがあるの?. P11

5)* 食事バランスガイドに沿った人ほど循環器疾患死亡リスクが低いという関連は,特に副菜の摂取量が多い人で顕著であることが,45-75歳の男性36,624人,女性42,970人を対象とした前向きコホート研究において報告されている.

Kurotani K, et al.: Quality of diet and mortality among Japanese men and women: Japan Public Health Center based prospective study. BMJ 2016; 352: i1209.

6)* 成人における野菜摂取と総死亡及び死因別死亡との関連を調べた16件の前向きコホート研究をまとめたシステマティックレビューでは,野菜摂取量の多い人ほど,総死亡及び循環器疾患による死亡リスクが低いことが報告されている.なお,アジアにおける研究に限定すると,明らかな関連は見られなかった.
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」より

Wang X, Ouyang Y, Liu J, et al. Fruit and vegetable consumption and mortality from all causes, cardiovascular disease, and cancer: systematic review and dose-response meta-analysis of prospective cohort studies. BMJ. 2014;349:g4490.

7)* (留意点)
食品群別のナトリウム摂取量(不連続4日間の24時間思い出し法より)とナトリウム排泄量(24時間畜尿より)との関連は,漬物野菜及び煮もの野菜において,有意な傾向性の関連が報告されている6) ことから,野菜の調理法には注意が必要.

Okuda N, et al: Food sources of dietary sodium in the Japanese adult population: the international study of macro-/micronutrients and blood pressure (INTERMAP). Eur J Nutr 2017; 56: 1269-1280.

8) UK Biobank参加者50万例を対象に食事への食塩追加頻度と早期死亡リスクおよび平均余命の関係を検討した結果,食塩追加頻度の高い者ほど早期死亡リスクが高かったが,野菜摂取量の多い群では食塩追加による死亡リスク増加が抑制された.

Ma H, et al. Adding salt to foods and hazard of premature mortality. Eur Heart J. 2022;43:2878-2888.

備考:項目No.18の文献2)の層別解析

10)* 94,658人の日本人男女を対象とした前向きコホート研究において,野菜摂取量の多い者ほど総死亡のリスクが低いことが報告されている.

Sahashi Y, et al. Inverse Association between Fruit and Vegetable Intake and All-Cause Mortality: Japan Public Health Center-Based Prospective Study. J Nutr. 2022;6:2245-2254.

11)* 50~79歳の日本人42,643人を対象とした前向きコホート研究において,男性では,野菜,特にアブラナ科の野菜,女性では野菜,果物,緑色野菜とネギ類野菜の摂取量が多い者ほど認知症リスクが低いことが報告されている.さらに,ビタミンCの摂取量が多い者ほど認知症リスクが低いことが報告されている.

Kishida R et al. Fruit and Vegetable Intake and Risk of Disabling Dementia: Japan Public Health Center Disabling Dementia Study. J Nutr. 2024;154:1842-1852.

12)* 95件の前向きコホート研究を用いたメタ解析において,野菜・果物の摂取量が増加するほど冠動脈疾患,脳卒中,心血管疾患,がん,全死亡のリスクが低いことが報告されている.
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」より,野菜・果物については,欧米を中心としたコホート研究のメタ解析では,野菜あるいは果物,あるいは両者を合わせた摂取は用量依存的に総死亡,心血管疾患死亡および冠動脈疾患発症,脳卒中発症,あるいは2型糖尿病発症リスクを低下させている.

Aune D, et al. Fruit and vegetable intake and the risk of cardiovascular disease, total cancer and all-cause mortality-a systematic review and dose-response meta-analysis of prospective studies. Int J Epidemiol. 2017;46(3):1029-1056.

13)* 10件の前向きコホート研究を用いたメタ解析において,野菜全体の摂取による2型糖尿病発症リスクの有意な低下は見られなかったものの,緑黄色野菜の摂取によるリスク低下が報告されている.
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」より

Li M, Fan Y, Zhang X, Hou W, Tang Z. Fruit and vegetable intake and risk of type 2 diabetes mellitus: meta-analysis of prospective cohort studies. BMJ Open. 2014;4(11):e005497.

14) 約190万人を対象とした26件のコホート研究のメタ解析により,果物・野菜を1日5サービング(果物2,野菜3)の摂取で全死亡および心血管疾患,がん,呼吸器疾患による死亡リスクが最小となる非線形の負の相関が確認された.それ以上の摂取で追加の効果は見られず,また芋類やジュースではリスク低減が認められなかった.

Wang DD, et al. Fruit and Vegetable Intake and Mortality: Results From 2 Prospective Cohort Studies of US Men and Women and a Meta-Analysis of 26 Cohort Studies. Circulation 2021;143:1642-54.

15) 8カ国の男女約13.5万人を対象とした多国籍コホート研究において,果物・野菜・豆類の合計摂取量と死亡リスクの関連を調べた結果,1日3〜4サービング(375〜500g相当)の摂取で全死亡リスクが22%減少し,最も低いリスクを示した.それ以上の摂取による更なるリスク低減は見られなかった.

Miller V, et al. Fruit, vegetable, and legume intake, and cardiovascular disease and deaths in 18 countries (PURE): a prospective cohort study. Lancet. 2017 Nov 4;390(10107):2037-2049.

参考1)* 
・野菜,果物は適切に,食物繊維は多く摂取する.
・野菜,果物は適切に,食物繊維は多く摂取することにより,がん,循環器病,糖尿病,妊娠高血圧症候群の予防につながる
・成人では,1日に野菜350g,果物200g,食物繊維17〜21gを目標に摂取することが推奨されている.
「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」より

国立高度専門医療研究センター6機関の連携による 「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」

 
項目20, 牛乳・乳製品を提供している
要素:牛乳・乳製品

1)* 食事パターンと心血管疾患死亡リスクとの関連について,40-79歳の一般住民男性26,598人,女性37,439人を対象とした大規模前向き研究における検討を行った結果,3つの主要な食事パターン(野菜型,動物性食品型,乳製品型)が見出され,「野菜型」および「乳製品型」の食事パターンに近いことがそれぞれ心血管疾患死亡リスクの低下と関連していることが報告されている.

Maruyama K, et al: Dietary patterns and risk of cardiovascular deaths among middle-aged Japanese: JACC Study. Nutr Metab Cardiovasc Dis 2013; 23: 519-527.

2)* (留意点1)牛乳・乳製品は,「食事バランスガイド」において1日に2SV:牛乳に換算すると約200ml(206g)の摂取が推奨されている.

厚生労働省・農林水産省.フードガイド(仮称)検討会報告書, 平成17年7月.

3)* (留意点2)国民(20歳以上男女総数)の牛乳・乳製品の摂取量は,平均値 110.7g(中央値70.0g)の現状である ため,適切に摂取することが勧められる.

厚生労働省.令和元年国民健康・栄養調査報告

4) 27件の前向き研究に基づくメタ解析において,食事由来のカルシウムの高摂取が全死亡リスク低下と関連していた.カルシウムの平均摂取量が700mg未満及び700㎎以上の集団に分けた層別解析においても,カルシウムの高摂取が全死亡リスク低下と関連していることが示された.

Pana TA, et al. Calcium intake, calcium supplementation and cardiovascular disease and mortality in the British population: EPIC-norfolk prospective cohort study and meta-analysis. Eur J Epidemiol. 2021;36(7):669-683.

5)* 日本人の食事摂取基準(2025年版)では,カルシウムの不足回避の観点から,推定平均必要量と推奨量が示されている.

〇推定平均必要量
男性:18歳-49歳:650㎎,30歳以上:600㎎
女性:18歳-74歳:550㎎,75歳以上:500㎎
〇推奨量
男性:18歳-29歳:800㎎,30歳以上:750㎎
女性:18歳-74歳:650㎎,75歳以上:600㎎

厚生労働省.日本人の食事摂取基準(2025年版)

6) 7つの前向き研究に基づくメタ解析において,乳製品の高摂取が炎症性腸疾患(IBD)の発症リスク低下と関連していた.

Talebi S, et al. The Association between Total Protein, Animal Protein, and Animal Protein Sources with Risk of Inflammatory Bowel Diseases: A Systematic Review and Meta-Analysis of Cohort Studies. Adv Nutr. 2023;14:752-761.

7)* 43117人の男性及び50,193人の女性を対象とした前向きコホート研究において,男性では乳製品の摂取場が多いほど全死亡と循環器疾患死亡のリスクが低いことが報告されている.一方で女性は明らかな関連は認められなかった.

Ge S, et al. Associations between dairy intake and mortality due to all-cause and cardiovascular disease: the Japan Public Health Center-based prospective study. Eur J Nutr. 2023;62:2087-2104.

8)* 20~74歳の60,633人の男女を対象とした横断研究で,全乳摂取が1日1回以上の者は不眠症のオッズが低いことが報告されている.男女別の結果では,女性においてのみ,同様の結果が報告されている.

Sato Y et al. The association between milk and dairy products intake and insomnia symptoms among Japanese adults in community-based cohort. Nutr Health. 2024;2601060241283133.

9)* 日本の10件のコホート研究(約40万人)を統合したプール解析において,牛乳を「ほぼ毎日」摂取する男性は,週1回未満の群と比べ全死亡リスクが6%,心血管疾患死が11%,脳血管疾患死が19%有意に低下した.女性でも脳血管疾患死が10%低下した.乳製品全体では,男女ともに中程度の摂取(第2・第3四分位)で全死亡リスクの低下が見られ,男性ではがん死亡リスクも低下した.ヨーグルトやチーズでは明確な関連は見られなかった.

Lu Y, et al. Association between dairy intake and all-cause and cause-specific mortality: a pooled analysis of 0.4 million Japanese adults from 10 population-based cohort studies. Int J Epidemiol. 2025;54(6):dyaf180.

LinkIcon PMID: 41283782

10) 世界がん研究基金による2018年の報告書では,牛乳・乳製品の摂取は大腸がんのリスクを「おそらく低下させる(Probable)」と評価.一方,高カルシウム食が前立腺がんのリスクを上げる可能性も示唆も,証拠不十分として特定の推奨はなされていない.

World Cancer Research Fund/American institute for Cancer Research. Continuous Update Project Expert Report 2018. Meat, fish and dairy products and the risk of cancer.
https://www.wcrf.org/wp-content/uploads/2021/02/Meat-fish-and-dairy-products.pdf

11) 32件の研究を統合したメタ解析において,全乳製品,牛乳,低脂肪乳,チーズ,および食事由来カルシウムの摂取量増加に比例して,前立腺がんのリスクが5〜9%有意に上昇した.一方で,非乳製品由来やサプリメントによるカルシウムは全体のリスク上昇に関与しておらず,乳製品に含まれる脂肪やカルシウム以外の成分がリスクを高めている可能性が示唆された.

Aune D, et al. Dairy products, calcium, and prostate cancer risk: a systematic review and meta-analysis of cohort studies. Am J Clin Nutr. 2015;101(1):87-117.

12)  21カ国の約13.6万人を9.1年間追跡した結果,1日2サービング以上の乳製品摂取群は,摂取なしと比較して死亡や主要な心血管疾患のリスクが16%有意に低下した.特に脳卒中のリスクは34%の低下であった.食品別では牛乳とヨーグルトでリスク低減が確認され,チーズやバターでは有意な関連は見られなかった.

Dehghan D, et al. Association of dairy intake with cardiovascular disease and mortality in 21 countries from five continents (PURE): a prospective cohort study. Lancet. 2018;392(10161):2288-2297.

13) 21カ国の大規模コホート研究において,1日2皿以上の乳製品摂取群では,摂取なしと比較してメタボリックシンドローム有病率が24%低下し,高血圧および糖尿病の新規発症リスクもそれぞれ11〜12%有意に低下した.全脂乳製品で顕著なリスク低減が見られた一方,低脂肪乳製品のみではメタボリックシンドロームとの関連は確認されなかった.

Bhavadharini B, et al. Association of dairy consumption with metabolic syndrome, hypertension and diabetes in 147 812 individuals from 21 countries. BMJ Open Diab Res Care 2020;8:e000826.

14) 約90万人を対象とした17件のコホート研究のメタ解析により,ヨーグルト摂取量が多い群は少ない群に比べ,全死亡リスクが7%,心血管疾患死亡リスクが11%有意に低下した.1日0.5サービングを超えると,それ以上のリスク低下は見られなかった.がん死亡リスクとの有意な関連は認められなかった.

Tutunchi H, et al. Yogurt consumption and risk of mortality from all causes, CVD and cancer: a comprehensive systematic review and dose–response meta-analysis of cohort studies. Public Health Nutr. 2023;26(6):1196-1209.

15) 47項目の健康アウトカムを対象としたアンブレラレビューの結果,チーズの摂取は全死亡リスクを5%,心血管疾患死亡リスクを7%有意に低下させることが示された.さらに,心血管疾患発症(8%減),冠動脈疾患(8%減),脳卒中(7%減),2型糖尿病(7%減),認知症(19%減)など,多くの疾患リスクとの負の相関が確認された.前立腺がんとは関連が見られなかった.

Zhang M, et al. Cheese consumption and multiple health outcomes:
an umbrella review and updated meta-analysis of prospective studies. Adv Nutr. 2023;14(5):1170-1186.

16) 2018年までに行われた8件のメタ解析(計6~26件のコホート研究を統合)を調べた結果,乳製品の摂取と全死亡リスクとの間に有意な関連は認められなかった.総乳製品,低脂肪・高脂肪,発酵乳,牛乳,チーズ,ヨーグルトのいずれのカテゴリーにおいても,リスク比は0.96~1.03の範囲に収まっており,特定の摂取量による死亡リスクへの影響は見られなかった.

Cavero-Redondo I, et al. Milk and Dairy Product Consumption and Risk of Mortality: An Overview of Systematic Reviews and Meta-Analyses. Adv Nutr. 2019;10(suppl_2):S97-S104.

17) 乳製品の種類(牛乳・ヨーグルト・チーズ),摂取頻度,脂肪含量と心血管疾患(CVD)リスクとの関連を検討することを目的とした.1990~2018年の185か国を対象としたGlobal Dietary Databaseと,CVD負担指標(発症率,有病率,DALYs)を用いた解析に加え,NHANESの個票データ30,341人を用いて個人レベルでの関連を評価した.さらに,因果媒介分析により炎症指標の媒介効果を検証した.その結果,牛乳摂取量が多いほどCVDリスクが低い傾向が全体および個人レベルで認められ,CVD,冠動脈疾患,心筋梗塞のリスク低下と関連していた.また,牛乳を毎日または週1回以上摂取する者は,週1回未満の者に比べCVDリスクが低かった.

Ma D, et al. Dairy consumption and cardiovascular disease risk: a multi-level analysis with inflammatory biomarker mediation. Nutr Metab (Lond). 2025; 22(1):156.

 

参考1) 
・年齢に応じて脂質や乳製品,たんぱく質摂取を工夫する.・乳製品の摂取により,成人や高齢者では循環器病のリスクが低くなる.
・子どもでは,全乳及び乳製品を摂取していると肥満になりにくいと考えられている.
「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」より

国立高度専門医療研究センター6機関の連携による 「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」

 
項目21. 果物を提供している(シロップづけを除く)
要素:果物

1)* 果物の摂取は冠動脈疾患および脳卒中リスクを低減させる可能性が,9,112人を対象とした前向きコホート研究において報告されており, 糖質含有量の少ない果物を適度に摂取することが勧められる.
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」より

Okuda N, et al: Fruit and vegetable intake and mortality from cardiovascular disease in Japan: a 24-year follow-up of the NIPPON DATA80 Study. Eur J Clin Nutr 2015; 69: 482-488.

2)* 果物の摂取は冠動脈疾患および脳卒中リスクを低減させる可能性が40,349人を対象とした前向きコホート研究において報告されており, 糖質含有量の少ない果物を適度に摂取することが勧められる.
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」より

Sauvaget C, et al: Vegetable and fruit intake and stroke mortality in the Hiroshima/Nagasaki Life Span Study. Stroke 2003; 34: 2355-2360.

3)* 果物の摂取は冠動脈疾患および脳卒中リスクを低減させる可能性が,40-79歳の男性25206人,女性34,279人を対象とした前向きコホート研究において報告されており, 糖質含有量の少ない果物を適度に摂取することが勧められる.
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」より

Nagura J, et al: Fruit, vegetable and bean intake and mortality from cardiovascular disease among Japanese men and women: the JACC Study. Br J Nutr 2009; 102: 285-292.

4) 成人における果物摂取と肥満との関連を調べた11件のRCTをまとめたシステマティックレビューでは,果物摂取と長期的な体重増加抑制との関連性が示されている.
「標準的な健診・保健指導プログラム【令和6年度版】」より

Hebden L, et al: Fruit consumption and adiposity status in adults: A systematic review of current evidence. Crit Rev Food Sci Nutr 2017; 57: 2526-2540.

5)*  日本の複数のコホート研究より,果物の高摂取に特徴づけられる食事パターンとがん,循環器疾患,糖尿病リスク低下との関連が報告されている.

農林水産省. 「食育」ってどんないいことがあるの?. P11

6)* 成人における果物摂取と総死亡及び死因別死亡との関連を調べた16件の前向きコホート研究をまとめたメタ解析では,果物摂取量の多い人ほど,総死亡及び循環器疾患による死亡リスクが低いことが報告されている.

Wang X, Ouyang Y, Liu J, et al. Fruit and vegetable consumption and mortality from all causes, cardiovascular disease, and cancer: systematic review and dose-response meta-analysis of prospective cohort studies. BMJ. 2014;349:g4490.

7)*  2025年に発表されたGBD 2023解析(204カ国・地域)では,食事関連リスク要因が複数の慢性疾患の死亡・疾病負担に寄与していると推計された.主要な食事関連リスクとしては食塩の高摂取,精製度の低い穀類の摂取不足,果物の摂取不足,野菜の摂取不足などが挙げられており,これらは世界各地域で慢性疾患のリスク増加と関連している.(再掲)

GBD 2023 Disease and Injury and Risk Factor Collaborators. Burden of 375 diseases and injuries, risk-attributable burden of 88 risk factors, and healthy life expectancy in 204 countries and territories, including 660 subnational locations, 1990-2023: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2023. Lancet. 2025; 406(10513):1873-1922.

PMID: 41092926

8)* 世界の疾病負荷研究2019(GBD 2019)のデータを用いて,日本における健康リスク因子別の死亡及び障害調整生存年数(DALYs)の寄与割合を推計した結果,喫煙,代謝系,アルコールに次いで,食塩摂取過剰,精製度の低い穀類の低摂取,果物の摂取不足がリスク要因として挙げられている.(再掲)

Nomura S et al. Toward a third term of Health Japan 21 - implications from the rise in non-communicable disease burden and highly preventable risk factors. Lancet Reg Health West Pac. 2022;21:100377.

9) UK Biobank参加者50万例を対象に食事への食塩追加頻度と早期死亡リスクおよび平均余命の関係を検討した結果,食塩追加頻度の高い者ほど早期死亡リスクが高かったが,果物摂取量の多い群では食塩追加による死亡リスク増加が抑制された.

Ma H, et al. Adding salt to foods and hazard of premature mortality. Eur Heart J. 2022;43:2878-2888.

備考:項目No.18の文献2)の層別解析

10)* 94,658人の日本人男女を対象とした前向きコホート研究において,果物摂取量の多い者ほど総死亡,心血管死亡,呼吸器疾患死亡のリスクが低いことが報告されている.

Sahashi Y, et al. Inverse Association between Fruit and Vegetable Intake and All-Cause Mortality: Japan Public Health Center-Based Prospective Study. J Nutr. 2022;6:2245-2254.

備考:項目No.19の文献10)と共通

11)* 50~79歳の日本人42,643人を対象とした前向きコホート研究において,男性では,野菜,特にアブラナ科の野菜,女性では野菜,果物,緑色野菜とネギ類野菜の摂取量が多い者ほど認知症リスクが低いことが報告されている.さらに,ビタミンCの摂取量が多い者ほど認知症リスクが低いことが報告されている.

Kishida R et al. Fruit and Vegetable Intake and Risk of Disabling Dementia: Japan Public Health Center Disabling Dementia Study. J Nutr. 2024;154:1842-1852.

12)* 10件の前向きコホート研究を用いたメタ解析において,果物の摂取が1日1サービング増えるごとに2型糖尿病発症リスクが低下することが報告されている.
「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」より

Li M, Fan Y, Zhang X, Hou W, Tang Z. Fruit and vegetable intake and risk of type 2 diabetes mellitus: meta-analysis of prospective cohort studies. BMJ Open. 2014;4(11):e005497.

13) 約190万人を対象とした26件のコホート研究のメタ解析により,果物・野菜を1日5サービング(果物2,野菜3)の摂取で全死亡および心血管疾患,がん,呼吸器疾患による死亡リスクが最小となる非線形の負の相関が確認された.それ以上の摂取で追加の効果は見られず,また芋類やジュースではリスク低減が認められなかった.

Wang DD, et al. Fruit and Vegetable Intake and Mortality: Results From 2 Prospective Cohort Studies of US Men and Women and a Meta-Analysis of 26 Cohort Studies. Circulation 2021;143:1642-54.

14) 8カ国の男女約13.5万人を対象とした多国籍コホート研究において,果物・野菜・豆類の合計摂取量と死亡リスクの関連を調べた結果,1日3〜4サービング(375〜500g相当)の摂取で全死亡リスクが22%減少し,最も低いリスクを示した.それ以上の摂取による更なるリスク低減は見られなかった.果物単体でも,非心血管疾患,心血管疾患,全死亡のリスク低減と関連した.

Miller V, et al. Fruit, vegetable, and legume intake, and cardiovascular disease and deaths in 18 countries (PURE): a prospective cohort study. Lancet. 2017;390(10107):2037-2049.

 

参考1)* 
・野菜,果物は適切に,食物繊維は多く摂取する.
・野菜,果物は適切に,食物繊維は多く摂取することにより,がん,循環器病,糖尿病,妊娠高血圧症候群の予防につながる
・成人では,1日に野菜350g,果物200g,食物繊維17〜21gを目標に摂取することが推奨されている.
「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」より

国立高度専門医療研究センター6機関の連携による 「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」

 
項目22.減塩の調味料を提供している
要素:食塩

1)* 40-59歳の男性531人,女性518人を対象とした横断研究において,食品群別のナトリウム摂取量(不連続4日間の24時間思い出し法より)とナトリウム排泄量(24時間畜尿より)との関連は,調味料(醤油,味噌)とみそ汁において,有意な傾向性の関連が報告されている.

Okuda N, et al: Food sources of dietary sodium in the Japanese adult population: the international study of macro-/micronutrients and blood pressure (INTERMAP). Eur J Nutr 2017; 56: 1269-1280.

2)* 35-67歳の日本人男性187人を対象としたRCTにおいて,低ナトリウム高カリウム調味料(Na: 1175mg, K: 1476mg)及び加工食品を用いた弁当とみそ汁(介入食)と通常の食塩(Na: 2243mg, K: 703mg)を用いた弁当・みそ汁(対照食)を6週間提供し,介入食の血圧への影響を検討した結果,介入食では対照食に比べ有意に血圧が低下していた.なお,低ナトリウム高カリウム調味料を用いた食事は,通常の食塩を用いた食事と同等に介入期間中摂取されていたため,減塩調味料の実現可能性が示唆された.

Umeki Y, et al. Feasibility of Low-Sodium, High-Potassium Processed Foods and Their Effect on Blood Pressure in Free-Living Japanese Men: A Randomized, Double-Blind Controlled Trial. Nutrients. 2021;13:3497.

3) 中国の2万995名を対象としたRCTにおいて,従来の食塩(NaCl 100%)と,代替食塩群(NaCl 75%+KCl 25%)で追跡期間中の脳卒中発症,心血管イベント及び総死亡のリスクを比較した結果,食塩の4分の1をカリウムに代替した代替食塩群においていずれのアウトカムもリスクが低く,両群間の高カリウム発症に有意差は認められなかった.

Neal B, et al. Effect of Salt Substitution on Cardiovascular Events and Death. N Engl J Med. 2021;385:1067-1077.

4) 中国の48箇所の介護施設居住者611人を対象とした無作為化比較試験において,通常の食塩を使用した料理を提供する群と代替塩を使用した料理を提供する群のそれぞれについて,2年後の高血圧発症率を比較した.その結果,通常塩群に比べ,代替塩群では高血圧発症リスクが40%低かった.一方で,低血圧のリスクに差は認められなかった.代替塩はナトリウム62.5%,カリウム25%,残りの12.5%はきのこやレモン,海藻などを用いた香料で構成されている.

Zhang X et al. Effect of a Salt Substitute on Incidence of Hypertension and Hypotension Among Normotensive Adults. J Am Coll Cardiol. 2024;83:711-722.

5) 21件のランダム化比較試験(計31,949人)を対象としたメタ解析において,カリウム配合の代替塩使用により,収縮期血圧が平均4.61mmHg低下し,全死亡リスクは11%,心血管疾患死は13%有意に減少した.血圧低下効果は地域や年齢,BMI等に関わらず一貫していた.

Yin X, et al. Effects of salt substitutes on clinical outcomes: a systematic review and meta-analysis. Heart. 2022 Aug 9:heartjnl-2022-321332.

6) 16件のランダム化比較試験を対象としたメタ解析において,6か月以上の代替塩使用は主に中国や台湾の心血管疾患高リスク群では,代用塩により全死亡リスクが12%,心血管疾患死亡が17%減少したものの,証拠の確実性は「low」であった.心血管疾患発症や重篤な副作用の有無についてはエビデンスは不確実であった.

Greenwood H, et al. Long-Term Effect of Salt Substitution for Cardiovascular Outcomes:
A Systematic Review and Meta-analysis. Ann Intern Med. 2024;177:643-655.